虎のマー君になる! 阪神伊藤将司投手(27)が21日、福岡市内で岩貞祐太投手(32)らと行う自主トレを公開。最多勝を目指す左腕は、全試合クオリティースタート(QS=6回以上自責点3以下)という楽天田中将が残した伝説の記録をターゲットとした。

震える寒さの雨中でも球には熱がこもった。今年初めて捕手を座らせた本格投球。わずか12球だが、スピンの利いた直球が制球よくミットに収まった。「すごくいい球を投げられている。順調に投げられていると感じます」と満足そう。さらには「秘密です」と新球? もほのめかし、貪欲に技術向上に取り組んでいる様子がうかがえた。

昨季は10勝。左のエースとして地位を確立したが、さらにランクアップする4年目にしたい。昨年の数字で特長的だったのが安定感を示すQSだ。12球団3位タイのQS率85・7%(21先発、18QS)だった。

伊藤将はQSへの強いこだわりを明かした。「そこしか自分(の特長)はないので。QSをどれだけ残せるか。長いイニングを投げるだけ(勝利の)チャンスも広がってくるので先発をやっている以上、そこ(100%)を目指したい」。13年の楽天田中将は先発した全27試合QSで24勝無敗。気の遠くなる数字でも、主力投手の責任感をのぞかせた。

1年間、安定したパフォーマンスを続けるためのカギが体作り。元ソフトバンクの守護神で、柔道整復師、鍼灸(しんきゅう)師の資格を持つ馬原孝浩氏(42)が監修する厳しいトレーニングに励む。「上半身が弱い」と認識し、全身の筋力バランスを重視する。「けがしない(ように)というのとスピードも平均が上がればすごくいい」と体力の底上げに余念がない。

最多勝なら阪神史上11人目。名投手への道を切り開く1年になる。【柏原誠】

◆13年の田中将 開幕4戦目オリックス戦に先発し白星がつくと、後は負け知らず。8月9日ソフトバンク戦で、プロ野球初の開幕16連勝を達成。5月から5カ月連続で月間MVPに選ばれ、6月からは3カ月続けて防御率0点台という驚異的な数字を残した。チームが初優勝を決めた9月26日西武戦では、この年初の救援マウンドに上がり胴上げ投手に。空前絶後の24勝0敗という偉業を成し遂げ、チームを日本一に導いた。先発したレギュラーシーズン全27試合でQSを決め、現状NPB最後の年間QS率100%を達成した。

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