日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(42)が6日、古巣阪神のキャンプ臨時コーチ初日から佐藤輝明内野手(24)に「集中講座」を施した。特守などで入念に動きを把握した後、1人だけの「おかわり特守」で55分間、身ぶり手ぶりでアドバイスを送り続けた。昨季チーム最多20失策を喫した三塁手に捕球時の極意を伝授。「守備は練習すれば良くなる」と背中を押した。

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穏やかな表情のまま、鳥谷氏は佐藤輝のもとへ歩き始めた。サブグラウンドで木浪、中野と3人の特守45分間を終えた直後。ぜいたくな「マンツーマン集中講座」は午後3時22分に幕を開けた。馬場内野守備走塁コーチのノックをさばき、一塁方向への送球を繰り返して今度は55分間。レジェンドOBは至近距離から身ぶり手ぶりで金言を送り続けた

鳥谷氏 ボールへの入り方を少し修正した感じです。やっぱり投げるために捕るわけなので。どう体を使っていくかを重点的にやらせてもらいました。

大砲は三塁に専念した昨季チーム最多の20失策。送球面で一塁大山の好捕に助けられる場面も少なくなかった。この日の特守でも無失策の木浪、1失策の中野に対して、121球で10失策。17年に三塁でもゴールデングラブ賞を獲得している鳥谷氏はすぐさま改善点をあぶり出した。捕球の際に「引く形になっている」と指摘。捕球と送球を連動させるために、体とグラブが受け身にならない秘訣(ひけつ)を伝授した。

鳥谷氏 捕る時の力の向きというか…。簡単な打球を捕る時は投げやすい形をベースにしてほしいので。そうすれば送球も楽になる。(受け身にならなければ)投げる距離が短くなる。(捕球時の)5センチ、10センチの差が一塁送球までで1メートル、2メートルの差になる。

通常メニュー中の守備練習15分間も含めれば、この日は計115分間にわたって三塁佐藤輝をチェック。先輩から「守備はしっかり練習すれば良くなる。安心して守れるようになれば打撃にもいい影響が出る」と強調され、後輩も課題克服へ意欲十分だ。

佐藤輝は「まだまだ引いて捕るイメージだったけど、しっかりグラブを出していくというのを引き出しの1つとして習得できたら」と充実感たっぷりに汗をぬぐった。昨季20を数えた失策数についても「半分ぐらいにできたら」と力を込めた。昨季のセ界ゴールデングラブ賞は9失策のDeNA宮崎。金言の数々を余すところなく吸収し、一気に「名手道」を駆け上がりたい。【佐井陽介】

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