阪神井上広大外野手(22)が、外野両翼争いに生き残った。6日、楽天とのオープン戦に「8番右翼」でスタメン出場。打線が3安打と冷え込む中で左翼越え二塁打を含むマルチ安打を決めた。岡田監督は10日巨人戦までの甲子園3試合で1軍起用を継続すると明言。この間に外野両翼候補の絞り込み作業を行う方針で、井上にとって最終アピールの舞台となる模様だ。チームは今季初の甲子園で、18年以来、6年ぶりのオープン戦開幕6戦全敗を喫した。

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若き大砲は、百戦錬磨の楽天田中将にひるまなかった。2回2死一塁。外角高めの140キロ直球を芯で捉え、ライナーで中前打とした。井上にとって、オープン戦8打席目での初安打だ。「本当にしっかり準備してゲームに入っていけました」。最初からフルスロットルだった。

7回1死一塁では左腕ターリーの高めに浮いたチェンジアップを左翼越え適時二塁打。「浮いた変化球は振ると、決め事としてやっていた」と高い集中力で逃さなかった。森下が侍ジャパンに招集されている中、前日5日もスタメン予定だったが、雨で中止に。岡田監督からは「なんか(井上の)持っているものかなあ。そういう機会がなくなってしまうというのも、なんやろなあ」とツキのなさを指摘されていた。実質“ラストチャンス”のこの日、「8番右翼」で執念を見せつけた。

指揮官は「この甲子園の間は(1軍に)置いとくよ」と10日の巨人戦(甲子園)までの1軍起用を明言。ひとまずアピールの機会は確保された。「あと3試合やな、日曜日までやな。それである程度(メンバーを)絞って遠征行かんとなあ」とも話し、キャンプからの外野両翼争いはメンバー絞り込みの最終段階に来たといえる。12日からの千葉→名古屋→博多の遠征3カード参戦へ、8日からの甲子園3試合が試験の場だ。

2、3日は1軍の札幌遠征ではなく広島・由宇での2軍戦に出場。2試合で8打数3安打と打席数を確保し、甲子園に乗り込んだ。岡田監督は「もうちょっとなあ、速い真っすぐに対応してほしい、いうのはあるけどなあ」と9回に松田の145キロに押され右飛に倒れた場面を指摘。「真っすぐ撃ち」が、次の生き残りへの課題となる。井上も「そこをもう1度、練習でもやっていきたい」と自覚している。

現状、右翼は森下に当確ランプがともっており、左翼もノイジー、前川、ミエセスらがひしめく。背番号32は「人より自分。自分がしっかり準備してできるように」と力強く言い切った。プロ5年目。虎党が覚醒を待ちわびるパワーヒッターは、覚悟を持って勝負の土俵に生き残る。【中野椋】

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