侍ジャパンの山下舜平大投手(21)が衝撃の侍デビューを飾った。「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024」の欧州代表戦(京セラドーム大阪)に4番手で登板し、2回無失点。自慢の直球は自己最速にあと1キロと迫る159キロを計測し、大谷翔平(当時日本ハム、現ドジャース)が14年の侍デビュー登板で出した球速に並んだ。

昨季9勝で新人王に輝いた高卒4年目右腕。本拠地マウンドで、近い将来の日本のエースとして躍動する姿を連想させた。

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登場の拍手が、1球でどよめきに変わった。山下が6回先頭ベルトレに投じた初球はいきなり158キロ。直球を4球続け、チームメート紅林の好捕で三邪飛に打ち取った。ハイライトは2死から。リディにこの日最速となる159キロを2球。自己最速にあと1キロと迫り、大谷の侍デビュー戦に並んだ。球速は山下自身もこだわる部分だ。

「意外と出たなと。現段階で去年のマックス(8月26日ロッテ戦での160キロ)に近い数字が出ている。これからどんどん上がってくれば、超えられるんじゃないかと思う」

7回は3人斬り。2回1安打無失点と堂々の侍デビュー戦だ。「楽しかった。球にばらつきあったけど、ゼロに抑えられて良かった」。2月28日の宮崎キャンプ練習試合ロッテ戦で2回無失点。それ以来となる中6日。シーズン開幕に向けた調整の途中ながら、初代表の重圧の中で結果も出した。

33球中24球の直球の平均球速は156・2キロにも及んだ。本人によれば昨季平均は154キロ。今季は「3キロ上がれば」と意欲を示すが、それに近いレベルだ。「アベレージが上がってくれば、マックスも上がる。いい方向に行っている」とこの日の登板で実感。大谷はエンゼルスだった昨季、8月の10勝到達時点で直球の平均球速が156・6キロ(97・3マイル)だった。

侍ジャパンは思い描いた舞台だった。昨年WBCで同学年の中日・高橋宏の投げる姿に「トップの選手から三振も奪っていた」と刺激を受けた。ドジャースに移籍した山本や先輩の宮城を見て、自身も投げる姿をイメージ。研究熱心で、野球のことが常に頭にある。

名前は20世紀前半の経済学者、ヨーゼフ・シュンぺーターにちなむ。このオフは1日5食の肉体改造などで体重を7キロ増やした。大谷がマークした日本球界最速165キロの更新も狙っている。そして日本球界で「一番になりたい」と突出した成績を目指す21歳。そのボールには、無限の夢が詰まっている。【大池和幸】

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