阪神中野拓夢内野手(27)は少し表情を緩めた。初回、追い込まれながらもカスティーヨの150キロ直球を左前にライナーで落とした。これが実に35打席ぶりの安打。8日ヤクルト戦以来のHランプだった。

「ヒットは出ていなかったけど感覚は良くなっていた。ヒットにこだわりすぎると小さくなって当てにいってしまう。まずは自分のスイングをしようと思っていた」と振り返った。

第3打席にも左前打。逆方向を意識する本来のスタイルで結果が出た。オフから強い打球を打てるよう取り組み、あえて引っ張る打席もあった。一時的にバランスを崩す結果になったが、前向きな挑戦だった。ここ数日は打ち込んでフォーム修正に努めてきた。

苦しむヒットメーカーの姿を見てきた岡田監督は「そらもう出るよ。そんな出んことはないから。前飛んだらどっか落ちるよ」とひと安心の様子だった。

中野は言う。「シーズン中であれば精神的にダメージもあったと思う。今だからこそ試せた部分もたくさんあると思う。試して失敗したことを糧にして、もっともっといい状態をキープできるように考えながらやっていきたい」。開幕まで残り2試合で抜け出した長いトンネル。苦しんだ分だけレベルアップするつもりだ。【柏原誠】

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