岡田阪神は果たして球団史上初のセ・リーグ2連覇、2年連続日本一を達成できるのか-。日刊スポーツが誇る名物ライター3人がシーズン開幕を直前に控え、24年猛虎への思いを書き込んだ。オープン戦は球団ワーストの開幕9連敗から苦しんだチームだが、もちろん本番はこれからや!

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「期待」と「不安」が入り交じる。史上初の連覇という課題を持って今季に臨む阪神、率直に言わせてもらえばそんな感じだ。

「投手を中心とした守りの野球」を掲げ、圧倒的な強さを見せた昨季。18年ぶりのリーグ優勝、そして指揮官・岡田彰布自身が想定していなかったという38年ぶりの日本一にまでたどり着いた感激はいまだ残る。

「監督には即効性がなかったらいかん。選手が同じでも監督が代わったら、チームが変わった-。そういうもんがないとな」

こう言ったのは仰木彬だ。言うまでもない近鉄バファローズで野茂英雄を擁し、オリックス・ブルーウェーブでイチローを抜てきし、日本一に輝いた知将。そして「指導者・岡田」はその仰木が導いたものだ。

阪神を戦力外になった後、オリックス選手として獲得。引退後はファームから指導者の道を敷いた。恩師などという言い方こそ岡田はしないけれど、仰木のことはいつも頭にある。「監督の即効性」と言った仰木の言葉を意識していたかどうかは知らないが、それをまざまざと見せつけたのが昨年だったと思う。

阪神監督としては実に15年ぶり、指揮官としてもオリックスを率いてから11年ぶりでの指揮官復帰。だがそんなブランクをまったく感じさせず、見事に栄冠をもたらしたのである。まさに「即効性」だった。

それを受けての今季だがやはり簡単ではない。「去年は出来過ぎやろ」と岡田自身が言ったように、勝ち続けるのは難しいのだ。他球団は「打倒阪神」をテーマにぶつかってくる。それを証明するかのように、オープン戦では史上初の初戦から7連敗(最終的に9連敗)を記録。去年とは違うという不安はある。

「期待」と「不安」。それは常にあるものだ。去年もあった。「あの年齢で復帰か」「いまの若い選手を率いることができるのか」-。岡田に対し、そんな見方があったのも事実だが、それを覆したのが昨季だ。

期待と不安は春に付きものの感情でもある。進級、進学、就職、さらには転勤など次のステージに進むとき、多くの人はそんな感情を持つ。「不安」を取り除くには「期待」しなければいいという考えもある。「連覇なんて無理」と虎党が覚悟していればいいのかもしれないが、それも寂しい。さあ、どうなる。いろいろな思いを乗せ、岡田阪神の24年シーズンが始まる。(敬称略)【高原寿夫】