チームのための1勝を-。阪神青柳晃洋投手(30)が日刊スポーツの開幕直前インタビューで、2度目の大役に懸ける覚悟を語った。8勝にとどまった昨季を「ふがいない」と振り返るが、それでも岡田彰布監督(66)から開幕投手に指名され、29日の巨人戦(東京ドーム)へ燃えている。昨年の日本シリーズのような一戦必勝の精神で、G倒からリーグ連覇へのダッシュを決める。【取材・構成=中野椋】

   ◇   ◇   ◇

青柳なりの敵地東京ドームでの巨人戦の心構えがある。ポイントは打線を「線」にさせないことだ。

「東京ドームだったら誰でもホームランが入るようなバッターばかり。野球においては常にそうなのかもしれないですけど、特に東京ドームの巨人打線を考えたら、ランナーをためて1発、というのが良くない。ランナーがいなければ、ホームランは1点は1点なので、無駄な四死球には気をつけて。誰というよりは、1人1人、丁寧に切っていかないといけない」

丁寧さを心がけつつ、大胆に。オープン戦ラスト登板となった22日のオリックス戦(京セラドーム大阪)では初回に押し出し四球で失点したが、その後はストライクゾーンにズバズバと投げ込み立て直した。

「押し出しという、チームとしては最悪な失点の仕方をしてしまったので、2回からはゾーン内で勝負して前に打球を飛ばしてもらってアウトを取ろうと、気持ちを切り替えました。そうすれば、ある程度いいボールがいって、いいアウトが取れた。もちろん、仲間のいい守備があってこそですけど、そこのシフトチェンジが最後の試合でできたのは、去年と違うところだと思います。去年はゾーン内で勝負することもできなかった状態が続いていましたから」

1月には2年連続で自らが開く自主トレに村上が参加した。村上は昨季のリーグMVP。同じく自主トレ仲間の岡留も中継ぎのブレーク候補筆頭だ。先輩ももちろん、黙ってはいられない。

「去年はうれしかったですけど、悔しかったです。去年の頌樹(村上)の活躍はうれしかった。でも、同じ先発なので悔しい部分もありました。できたら僕は成績でも示したかった。僕が開いている自主トレなので、僕は自分が常に一番でいたかったというのはあります。もう今年は、同じライバルとしていけるかなと思うので、もちろん、頌樹よりも岡留よりも良い成績を出したいです。『自分はまだまだだな』と後輩たちが思えるような先輩でありたい」

昨季の成績を見れば村上が開幕投手にふさわしいのでは? そんな世間の声がゼロではないことも知っている。全ては結果で応えるつもりだ。

「僕の開幕投手に対して、なんで村上じゃないんだ? と思う人もいっぱいいると思います。去年ダメだったやつがなんで開幕いくんだって。もちろん、村上のファンもいますし、僕のファンもいる。僕が開幕投手になったら、村上のファンは僕を怒ると思いますし、村上が開幕投手だとしたら『まだ早い』って僕のファンが怒るかもしれないじゃないですか。それは見てる側の自由だと思います。プロとして結果が出なければ言われるものだと思うので、どう思われようが結果で示すしかない。そこを求めてやっていかなきゃいけないと思います」

覚悟はとっくにできている。

▼阪神の投手で、日本シリーズ最終戦と翌年の公式戦開幕戦に続けて先発した投手は過去2人いる。小山正明は62年公式戦で、村山実との両輪でセ2位の27勝をマーク。東映(現日本ハム)との日本シリーズ第7戦も延長10回1失点の力投を見せたが、救援の村山が東映の西園寺に決勝アーチを浴びた。翌年63年開幕戦の巨人戦では勝利投手となり、留飲を下げた。また阪神が初めてCSを突破して進んだ14年の日本シリーズでは、ソフトバンクと対戦。第5戦でメッセンジャーは8回途中1失点と粘ったものの、打線が攝津の前に沈黙した。翌年15年開幕戦では6回3失点で勝は無関係。延長10回に、マートンがサヨナラ打し、白星発進した。