これが先輩の投球や! 阪神伊藤将司投手(27)が粘りの投球で節目の勝利を手にした。

緊張感を感じた今季初先発。立ち上がりからボールが高めに行くなど制球に苦しみ、2回までに2失点を喫した。それでも大崩れはせず、以降のイニングは走者を出しても無失点。特にラストの7回は、後輩の1発に燃えた。

「翔太が豪快なホームランを打ってくれたので。ここは点を取られたら先輩情けないなと思った。なんとか0点に抑えられました」 森下の特大2ランで逆転に成功し、7回は3番佐野、4番牧、5番宮崎をピシャリと3人斬り。終わってみれば7回4安打2失点と尻上がりの好投。虎の平成ドラフト入団の選手では最速となる、65試合目でのプロ30勝目を挙げた。

「ワンバウンドするぐらいで」と後半は低めを徹底意識。自然とゴロも増えた中、味方野手の好守に再三助けられた。「野手のみんなに助けてもらった1勝なので」とチームで今季初の先発勝利をかみしめた。

プロ4年目。後輩も年々増え、先輩としての仕事もバッチリだ。毎年、岩貞とともに行っている自主トレに今オフは、同期で2学年下の左腕岩田も参加。「右打者の内角」への投げ方を問われ「キャッチャーの左膝を狙って投げろ」。模索する後輩に送った、簡潔で分かりやすい助言だった。

「ガンツ(岩田)は同期だし、一緒に1軍にいられたらと自主トレしていました。難しく考えず、アバウトな所から徐々に広げていけばいい。細かい、難しいことは言っていません」

シンプルな意識だが、実行するには確かな技術も必要。自身の技術を凝縮した簡単な言葉で、後輩の背中をたたいた。

満員のホームで決めた節目の1勝。だが、左腕にとってはあくまで通過点だ。「まだまだ30勝なので。どんどん投げて、100勝とか目指していけたらいいなと思います」。さらなる記録達成へ、背番号27は止まらない。【波部俊之介】

▽阪神梅野(7回2失点の伊藤将をリード)「シフトチェンジしながらどの球種が低めに集まるかなと選択した。味方の逆転を待ちながら将司が粘ってくれた」

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