ソフトバンク柳田悠岐外野手(35)が、杜(もり)の都の呪縛を解いた。

2本の適時打を含む今季初の3安打猛打賞をマーク。初回無死一、三塁から先制適時打を放って打線に火を付けた。チームは今季最多の13安打で6得点。昨季7月から引き分けを挟んで8連敗中だった鬼門仙台で、スッキリと快勝発進だ。開幕から5勝2敗で貯金は「3」。小久保ホークスが初めて単独首位に浮上だ。

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電光石火の先制劇だった。0-0の初回無死一、三塁。柳田は楽天早川にわずか3球で追い込まれるも、しぶとく2球ファウルで粘った。フルカウントからの8球目だ。最後は外角スライダーに食らいつく。体勢を崩されながらも、グッと踏ん張って右前へ運んだ。「当てれば点は入るかなと。必死に食らいついた」。技ありの1本で、エース左腕の出ばなをくじいた。

快音は止まらない。3点リードの4回2死一、二塁では右翼線へ適時二塁打をマーク。内角の直球を思い切り引っ張った。6回は逆方向へ三遊間を破る左前打。今季初の3安打猛打賞をマークした。「本当につなぎの意識」。後ろには4番山川に、5番近藤…ら役者ぞろい。大振りを捨て、コンパクトなスイングを意識する。「常にそう思って。今日はいい結果になった」と納得顔だった。

12球団屈指の超強力打線に鬼門の地などお構いなしだった。楽天モバイルパークでの勝利は昨年の4月16日以来。昨季7月から引き分けを挟む8連敗中だった。散々な目にあったはずの仙台遠征にも、主砲は「あんまり覚えてないですけど」と気にしない。「今日は勝てたので。また明日かなと思います」と気持ちを引き締めた。

柳田がけん引した打線は今季最多13安打で2戦連続の2桁安打と絶好調。3者凡退は9回のみとつながりを見せた。小久保監督は「3者凡退じゃないと相手に流れはいかないので。そういう点ではいい攻撃でしたね」。これで開幕から3カード連続で初戦を取り、5勝2敗で貯金3とした。小久保ホークスでは初めての単独首位に浮上。鬼門・仙台で弾みのつく1勝となり、4年ぶりV奪還へ一気に独走態勢に入っていく。【佐藤究】

▽ソフトバンク甲斐(5回2死一塁で左翼に適時二塁打)「とにかく2アウトからつないでいくことだけを考えました。内容は置いておいて、追加点を取ることができて良かったです」