春の珍事とは言わせない。中日が8年ぶりに単独首位に立った。2試合ぶりにスタメン復帰した中田翔内野手(34)が2打席連続タイムリーで3打点と大暴れ。チーム全打点を挙げる活躍で2年ぶり4連勝に導いた。オープン戦首位タイの勢いそのままに開幕から6勝3敗1分けと好調をキープ。まだ4月ではあるが、2016年5月10日以来、2891日ぶりとなる単独トップだ。

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8年ぶり単独首位への主役はやっぱりこの男だった。体の張りから7日の広島戦(マツダスタジアム)を移籍後初欠場。「4番・一塁」で、2試合ぶりに定位置に帰ってきた中田が、単独首位にチームを引っ張り上げた。

初回1死一、二塁で迎えた第1打席。DeNA先発ジャクソンに2球で追い込まれたが、3球目152キロ直球を逆らわずに右前に運んだ。開幕から2本のソロアーチや犠飛を決めてきたが、巨人から移籍後初の先制タイムリー。貴重な1点をスコアボードに刻んだ。「食らいついていったので、いいところに落ちてくれて良かった」。

同点に追い付かれた3回は技ありの一打だ。1死二、三塁。再びジャクソンに2球で追い込まれたがカウント2-2からの5球目138キロチェンジアップをライト前に運んだ。「小笠原が粘り強い、らしい投球をしてくれていた。常にリードしてる状態の方が投手も投げやすい。そういう状況を作れて良かった」。主砲として投打のリズムの要になれたことを素直に喜んだ。7日の広島戦(マツダスタジアム)では体の張りから移籍後初めてベンチ外。「大きなケガだけはしたくない」。2日間のリフレッシュで全得点をたたきだし、9回フルイニングを完走した。

打点王3度の中田は、得点力不足から2年連続最下位に沈んだ立浪監督が、強く希望して獲得した。「4番にしっかり座ってくれてるのが、チームにとっても大きい。チャンスでの集中力は素晴らしいものを持っている」。打線のコアに陣取る男を称賛した。

2年ぶり4連勝で、16年5月10日以来、2891日ぶりの単独首位に立った。「まだ10試合。ただ、昨年と違って、変わったドラゴンズで、ここまで戦うことができている。選手も自信になる。今年はやれるチーム状況にもなってきている。1試合1試合、1つのプレーを大事にしながら変わらず、やっていきたい」。就任以来初めて立った景色を指揮官がかみしめた。【伊東大介】