阪神森下翔太は「感覚」という言葉をよく使う。

感覚というと抽象的な印象を受けるが、まったく逆で繊細だ。ビデオ映像など研究も熱心。感覚を起点にして、理想に近づけていくことにこだわりを持つ。

昨オフ、ミズノ社のバット工房を訪れた時のこと。「体で打つ」新しい打撃スタイルを頭に描き、そのために必要となる湾曲の少ないバットを作ろうと思っていた。まず、ベースになるバットを探した。歴代の名選手が使ったバットが数十本、飾ってある。ひと通り眺め「これを」と手にとったのが、メジャー通算4256安打のピート・ローズ型だった。グリップが太く、近年の日本では例がないほど異質な形状。インスピレーションで決めた。

そこから細かい改良を何度か加えてシーズンイン。当初とは形状が変わったが、求めているスタイルは不変。ここまで3本塁打と一定の手応えはつかんでいる。理想はまだまだ上。これからも感覚と現実のすり合わせを続けていくはずだ。【柏原誠】

【動画】阪神森下翔太が甲子園100周年イヤー第1号!打球速度175キロ 岡田監督もニヤリ