“虎のウルシ”が、あいさつ代わりの好救援だ。阪神漆原大晟投手(27)が、タテジマでの甲子園デビュー戦で、3回1安打無失点の好リリーフ。一方的な展開をしっかり締め直した。

先発伊藤将がまさかの2回6失点KO。だが2番手で3回からマウンドに上がり、思い空気を一変させた。3、4回は難なく3人斬り。3イニング目の5回は2死から堂林に中前打を浴びたが、秋山を中飛に打ち取り0を刻んだ。最速は150キロを計測し、4奪三振。連日超満員の虎党の前で、堂々と光り輝いた。

「早い回からの登板でしたけど。先というよりは、1人ずつ1イニングずつというイメージでいけた。結果、3回投げ切れたのでよかったと思います」

登板は今季3試合目。2日DeNA戦(京セラドーム大阪)から中7日で迎えた。ビハインドや回またぎなど幅広い役割に対応し、開幕から無失点投球を継続。防御率0・00の安定感を誇る。愛称は「ウルシ」。今や虎のリリーフ陣に欠かせない存在になっている。

「どこの場面でも立場でも、やることは変わらない。1試合1試合、1人1人の積み重ねになってくると思うので。任されたところでしっかり結果を出していくのが今やるべきこと。まずは、目先の試合をしっかり抑えることだけ考えてやっていけたら」

昨年12月、現役ドラフトの2期生として阪神に移籍した。オリックス時代の22年は1軍登板なしでシーズンを終え、昨季は16試合登板にとどまる中で新天地に招かれた。阪神では23年に同制度で移籍した大竹が、いきなりチームトップの12勝。漆原も「あとに続けるように」と、“先輩”に続く活躍を誓い、シーズンでの快投につなげている。

ビハインドでも聖地の大声援は変わらない。「アウトを取った時だったり(ベンチに)帰ってきた時の温かい声援がある。その歓声を1回でも多く今シーズン聞けたらいいなと感じました」。快投を積み重ね、これから何度も聖地を沸かせてみせる。【波部俊之介】