中日落合博満監督(56)が異例の人事で守備陣の立て直しに動いた。4日からのロッテ戦を控えた3日、今季から1軍スタッフに加わった風岡尚幸内野守備走塁コーチ(42)を2軍に戻し、入れ替える形で2軍の渡辺博幸内野守備走塁コーチ(39)早川和夫野手コーチ(50)を呼び寄せた。中日は現在、チーム45失策と12球団ワースト。中でもチーム1、2の失策を記録する森野、ブランコの重点強化に乗り出す考えだ。シーズン中の1、2軍コーチ入れ替えは落合政権では初めてとなる。

 7点差をひっくり返される大逆転負けを食らった翌日。指揮官が大ナタを振るった。入れ変わったのは選手ではない。選手を指導するコーチだった。練習前、選手の輪に渡辺内野守備走塁コーチ、早川野手コーチが加わりあいさつを述べた。中日は本来、コーチに1、2軍の区別はない。そのため柔軟に入れ替えることも可能。だが、ナゴヤドームで繰り広げられた光景はおよそシーズン途中とは思えないシーンだった。

 異例とも言える“入れ替え”の真相は守備強化にほかならない。現在、中日は12球団ワーストの45失策を記録。その中心にいるのが10失策の三塁森野、8失策の一塁ブランコだ。この日、落合監督は無言を貫いたが、辻総合コーチは「ノックする手も増えるし、いろんなところに目が届く。ナベちゃん(渡辺コーチ)は一塁も三塁もやっている。手が増えれば1人で1人の選手を付きっきりで見ることも出来る」とその意図を代弁。04年にゴールデングラブ賞(一塁手部門)を受賞した“専属守備コーチ”を2人に付け、徹底的に失策撲滅を目指す。

 これまで風岡コーチが担っていた一塁コーチは早川コーチ、内野守備隊形の指示は辻コーチが担当する。コーチが1人増えたが、ベンチ入り人数にも制限がある。そのため渡辺コーチは試合では、スコアラー登録でベンチ入りする予定だ。

 この日、さっそく指導に乗り出し、早川コーチがブランコにノックを浴びせ、その横で渡辺コーチが指導を開始した。渡辺コーチは「基本的なことを伝えただけ。イージーなゴロでも余裕を持って捕らないこと。前からテレビを見ていて気になっていたんだ」と説明した。04年から7年目に突入した落合政権では、シーズン中に1、2軍のコーチが入れ替わったのは初めての出来事。守備再建から逆襲に出る。【桝井聡】

 [2010年6月4日10時20分

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