本命不在とみられる戦国場所で、横綱鶴竜(31=井筒)が賜杯レースで単独トップに立った。

 西前頭2枚目の嘉風(34=尾車)の動きにも全く惑わされず、逆に突き押しで絶妙な間合いを取る。相手の体勢が崩れたとみるや、2度目の引き技で嘉風の体を泳がせ、はたき込みで全勝キープの6勝目を挙げた。

 支度部屋に戻ると、取り口同様、冷静に「慌てず集中して、しっかり目の前の相手を見て取れた」と振り返った。平幕の遠藤が白鵬から金星を挙げた結びの一番は、勝ち残りの控えで間近に見た。ここでも遠藤を「元気が出てきた。ケガとか悔しい時間を過ごしてきたと思う」と冷静に、おもんぱかるように察した。

 豪栄道に加え、白鵬も敗れたため、無敗で単独トップ。その遠藤と7日目に対戦するが「明日の相撲に集中するだけです」と、すぐに気持ちを切り替えた。3横綱の中では最も遠ざかる、昨年秋場所以来、7場所ぶり3度目の優勝に、無心で突き進む。