大相撲屈指の名門高砂部屋が、46年ぶりに「トリプル十両昇進」を果たした。日本相撲協会は30日、名古屋市のIGアリーナで秋場所(9月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、新十両4人と再十両1人、計5人の昇進を発表。うち3人が高砂部屋で、石崎改め朝翠龍(あさすいりゅう、24)、朝白龍(26)は新十両、大関経験者の朝乃山(31)は再十両昇進を果たした。朝乃山は史上初めて、2度の三段目転落を経ての関取復帰でもあった。旭海雄(25=大島)と西ノ龍(24=境川)の新十両昇進も発表された。

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絶えない師匠の笑顔が、喜びの大きさを物語っていた。相撲界では十両昇進で一人前と認められ、各部屋にとって最大級の慶事とされる。それが3人同時。新十両2人の会見に同席した高砂親方(元関脇朝赤龍)は「素直に、すごくうれしい。場所前から3人同時に上がってほしいと思っていたけど、本当にそうなるとは。最高」と弟子の活躍に目を細めた。西幕下筆頭の朝乃山が5勝2敗、東幕下2枚目の石崎改め朝翠龍が6勝1敗、東幕下3枚目の朝白龍が7戦全勝で幕下優勝。文句なしの昇進だ。

朝翠龍は、兄の前頭朝紅龍と24組目の兄弟関取となった。初場所から3場所連続、勝てば昇進の七番相撲に敗れており「今場所は大事なところで勝てた」と、精神面の成長を実感。新たなしこ名は「入門前から両親が考えていた。翡翠(ひすい)の石のように技や心を磨いて光っていく」と、思いを重ねた由来を説明した。横綱大の里は日体大で同期で「少しでも追いつきたい」と、対戦を夢見た。

同様に朝白龍も「目標は三役、それ以上。大関や横綱を目指したい」と力説した。モンゴルから同じ飛行機で来日、一緒に千葉・日体大柏高に進んだ横綱豊昇龍、小結欧勝馬との対戦を願い「2人は親友だけど、かなり番付に差がある。いつか一緒に取りたい」と力説。2人にとって縁の深い両横綱の存在は刺激だ。

長く部屋を引っ張ってきた朝乃山は、昨年名古屋場所で左膝を大けがし、幕内から三段目まで番付を下げながら関取に復帰した。コロナ禍のガイドライン違反で謹慎休場し、大関から三段目に転落した時に続き、2度も三段目から関取に復帰するのは初。体調不良で当初予定の取材対応はなかったが、部屋関係者に「感慨深いものがある」と、しみじみと語ったという。左膝手術が昨年7月31日。この日で365日目だった。

同部屋から3人同時の十両昇進は、79年秋場所で琴の龍と琴千歳が新十両、琴立山が再十両の佐渡ケ嶽部屋以来、46年ぶり。朝紅龍1人から関取4倍増で名門が活気づく。【高田文太】