「女性アナの水曜日」は、先週に続いてTBSの堀井美香アナウンサー(47)です。TBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」(土曜午後1時)やテレビで多くの番組のナレーターを務めている彼女は、ママさんアナウンサーの先駆者的な存在でもあります。アナウンサー人生を振り返りました。

TBSラジオの看板の前でポーズをとる堀井美香アナウンサー(撮影・小沢裕)
TBSラジオの看板の前でポーズをとる堀井美香アナウンサー(撮影・小沢裕)

入社2年目の96年にTBSに同期入社した男性と結婚し、翌年、出産した。子育てと仕事を両立しながら、ママさんアナの先駆けとして第一線を走り続けている。

アナウンサーが入社後、数年で妊娠・出産するのは当時としては異例だった。「先駆けって良い言葉ですけど、ひんしゅくでしたよ。今だから言えるけど、いろいろ言われました」。アナウンサーは勤務時間が不規則になりがちだ。育児しながらの仕事は苦労も多かった。

「子供が小さい頃はお仕事を断ったり、日曜日のラジオもできませんとか。お給料は全部ベビーシッターさんに消えていく感じで。私が仕事で家を出て行く時、1歳ぐらいの子が玄関で靴をはいている。私と一緒に行こうとして。そういうこともありました。自分のことで精いっぱいでここまで来ました」と振り返る。

そして、「今は、ママアナウンサーがキャリアになることが分かってきて、仕事もそういう視点で使おうという現場がたくさんあるんです」とし、「アナウンサーの仕事を続けてきて、結果的に良かったかな」としみじみと語った

もともとアナウンサー志望ではなく、秋田の実家の郵便局に勤めようと思っていた。「大学の事務局に何かの手続きをしに行ったときに、たまたまマスコミ講座の先生がいて『君、これ受けてみた方がいいよ』って言われて、『受けてみようかな』と思って受けて。それで試験を受けたら受かって…」。

秋田にはTBSの系列放送局がなかったため、周囲には就職に反対もされたという。「TBSが放送されていない県なので、『ザ・ベストテン』も見られないし、久米宏さんも知らないし、『オレたちひょうきん族』の『ひょうきんベストテン』が本物だと思ってましたから(笑い)。『何の会社なの? とにかく早く帰ってきなさい』って感じでした」。

大学でマスコミ講座との出合いがなかったら、今頃、秋田で郵便局長をやっていた可能性もある。「なんか面白いですね。だから、ずっと東京を観光している気分なんです(笑い)」。【上岡豊】(つづく)

◆堀井美香(ほりい・みか)1972年(昭47)3月22日、秋田県生まれ。法大法学部を卒業後、95年4月にTBSに入社。入社2年目の96年に結婚。1男1女の母。現在、TBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」(土曜午後1時)などに出演中。趣味はピアノ、コーヒー、絵画。