俳優国村隼(61)が25日、日本人として初めてノミネートされた韓国最大の映画賞・青龍映画賞で、外国人俳優初の助演男優賞と人気スター賞の2冠を獲得した。国村は、日本で来年3月11日公開の韓国映画「哭声 コクソン」(ナ・ホンジン監督)で平和な田舎の村に大きな変化をもたらす“よそ者”を演じた。

 国村は壇上でトロフィーを手に「韓国で初めて撮った映画で、こんなふうに賞をもらえるとは思っていませんでした」と感激を口にした。青龍映画賞37年の歴史で、韓国以外の外国人俳優がノミネートされること自体、2度目という状況の中、受賞した快挙を、国村自身が信じられないでいる様子だった。

 国村は89年の米映画「ブラック・レイン」、香港のジョン・ウー監督の92年「ハードボイルド 新・男たちの挽歌」や、クエンティン・タランティーノ監督の03年「キル・ビル」などに出演。13年には世界3大映画祭の1つ、ベネチア映画祭にも参加するなど海外での評価は高い。自身、海外の映画を見る機会も多いが、受賞スピーチの中で、初めて出演した韓国映画への思いを、熱く語った。

 「日本で韓国映画を見ていて、思っていたことがありました。どうして韓国映画はパワフルなのか、韓国の俳優の存在感は、すごいのか? ナ・ホンジン監督が日本に来て『一緒にやろうよ』と言ってくれて、韓国に来て分かったんです。韓国の現場は、監督を頂点として俳優やスタッフがプライドを持って映画を作っていました。俳優とスタッフの高いプライドが、韓国映画の原動力だと思いました。韓国映画がすばらしいのは、すばらしいお客さんがいるからと思いました。賞をいただき、本当にありがとうございました」

 国村は、主演映画「弁護人」の公開で今月、10年ぶりに来日した、韓国を代表する俳優ソン・ガンホ(49)のファンであることを司会からつっこまれると、会場にいたソン・ガンホに控えめなアピールをして会場を沸かせた。

 「哭声 コクソン」は韓国で観客動員700万人と大ヒットし、世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭でも招待上映された。