世界的なクラシック音楽指揮者で兵庫県立芸術文化センター芸術監督を務める佐渡裕氏(55)がプロデュースするモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」(兵庫県立芸術文化センターなど同県内3会場、7月14日~)の制作発表会見が30日、大阪市内で行われた。

 佐渡氏は「だれもがタイトルを聞いたことがある作品。モーツァルトの代表作をとりあげることができてすごく楽しみにしている」と意気込みを語った。

 作品は18世紀のスペインが舞台。貴族に仕える家来、フィガロの結婚をめぐる騒動が描かれる。好色なアルマビーバ伯爵はフィガロの恋人を寝取ろうとするが、逆にとっちめられる。

 権力者のアルマビーバ伯爵について佐渡氏は「伯爵をいま流行の言葉で言うと、“ゲス的な”でしょうか。(自らの欲望をかなえるため)法律まで変えてしまう。まるでトランプ大統領と週刊文春がいっしょになったようなタイプですね」とジョークでたとえ、二転三転する物語に「品のない話から品のある話までの幅の広さがこのオペラの魅力です」と話した。

 兵庫県川西市出身の若手日本人オペラ歌手の1人、中村恵理がフィガロの結婚相手のスザンナ役(ダブルキャスト)を担当する。地元でのオペラ公演は初めてとなる中村は「キャリアの節々に『フィガロの結婚』とご縁がある。スザンナ役は歌う分量が非常に多いのですが、お客さまが分かりやすく物語に入っていけるように心がけていきたい」と笑顔を見せた。

 公演は兵庫県立芸術文化センター(7月14~23日)、姫路市文化センター(7月26日)、篠山市立たんば田園交響ホール(7月29日)。計10公演が上演される。