新劇の劇団には稽古場ともなる小さな劇場を構えている所が多い。青年座にも劇団事務所などが入るビルの中に「青年座劇場」があるが、先日、その49年の歴史に幕を閉じた。69年に矢代静一作「天一坊七十番」でオープンし、最後の公演となった長田育恵作「砂塵のニケ」まで、49年間で232作品を上演してきた。

 私は見始めたのは78年からだが、それでも40年間も通ったことになる。千代田線の代々木公園駅を出て、歩いて2分ぐらいの便利なところにあり、そこで上演された作品はほとんど見ている。78年初演の「ブンナよ、木からおりてこい」は水上勉氏の作品で、カエルやヘビ、モズに扮(ふん)した俳優たちの身体表現に驚かされた。80年の「五人の作家による連続公演」では別役実、宮本研の新作を見ることができたし、94年にはマキノノゾミの傑作「MOTHER 君わらひたまうことなかれ」も見ている。今は退団してしまったが、西田敏行もここで演技を磨き、国立劇場芸術監督である演出家宮田慶子も若手時代に頭角を現し、最終公演の演出を手掛けた。

 今回の閉場はビルの大改修が理由だが、改修後にどういう形で「復活」するかは未定。文学座のアトリエ公演と並んで、数々の秀作を生み出してきた青年座劇場の再生を待望している。