北野武監督(71)が27日、都内で行われた「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」先行内覧会に出席した。

 「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」は、空間の上、下、横まで無限に広がる光の中に没入していく大型デジタルアート空間だ。作品の中には、浮遊した球体に埋め尽くされた空間の中をかき分けるものがあり、気流や気圧の変化で球体全体がうごめいたり、上に上がったり下に下がったり、球体に埋め尽くされた空間そのものが動く作品や、水の中を歩いていく作品もある。

 北野監督は一足、先に体験して、映画製作や文筆業を行うクリエイターとして非常に刺激を受けたようだ。「視覚的な映像と、実際に水が冷たいのと、脳の想像力と実体験が一緒に来る。外に出るのに、人間の体は、これほど言うことを聞かないのか? という感覚になり、面白い」と絶賛した。

 2年前にも同様の施設を作った際、北野監督が出演したCMを見た海外の観光客が多数、足を運んだという。その際〝素足になる〟というコンセプトの作品を設置した一方で、家の居室でも靴を履く習慣がある海外の人に抵抗がないかと懸念したというが、文化の違いを楽しんでもらえたという。米ニューヨークに設けるギャラリーでも、素足の部分を作るという話を聞いた北野監督は「裸足になることに抵抗がなくなってきたら、パンツを脱ぐことに抵抗をなくしていただき『吉原inニューヨーク』で、おいらんショーをやるくらいの発想になって欲しい」とジョークを飛ばした。

 そして「現代版のお化け屋敷だと思って欲しい。水の中に足を入れるのが、これほど感動することはない。柔らかいマットを歩くことが、これほど子ども時代を思い出させることはない。現代の技術はこれほど、きれいな映像を作れるのか…一日中、楽しんで欲しい。本当に面白い」と力説した。

 北野監督の話は、今後の映像技術への期待から、昨今、eゲームがブームとなっているゲームにまで及んだ。「(映像では)鳥の目線で飛んでいると、恐竜世界とかね…何とかサウルスが飛んできたり、宇宙飛行士が飛んだり、実際に見えないものが見えるといい。ゲームが流行っているけど、バンバン撃って倒れても、本人に害はない。撃たれると銃が撃てなくなって負け…となったら面白いな」。

 「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」を制作した、チームラボ代表の猪子寿之氏は「巨大な空間に、他者とともに身体ごと圧倒的に没入するコンセプトで作りました。非日常体験、身体と作品との境界が曖昧になる体験を通して、自分の世界との関係を見直す、自分は世界の一部であるという体験が出来ればと思って作っています」とコンセプトを説明した。

 「チームラボ プラネッツ TOKYO DMM.com」は7月7日にオープンし、20年秋まで開かれる。20年東京五輪とは偶然、タイミングが重なったというが、猪子氏は「世界がグローバル化していく中で、東京もグローバル化する。多様な楽しみの1つになることが出来たら幸せ。体験を通して、日ごろの枠組みを外し、自分と他者との関係を考え直すきっかけになり、価値観が広がる体験になれば。こんなにも、メチャクチャなことをやらせていただけて幸せ。(20年東京五輪で)世界中の人が東京に来る機会の中で、町を好きになってもらえる多くのものの、1つになってくれればいい」と期待した。【村上幸将】