弁護士が活躍する連続ドラマが話題を呼んでいる。織田裕二(50)主演のフジテレビ系「SUITS/スーツ」(月曜午後9時)と、米倉涼子(43)主演のテレビ朝日系「リーガルV~元弁護士~小鳥遊翔子~」(木曜午後9時)だ。この2つのドラマを監修しているのが、フジテレビ系「バイキング」などでもおなじみの、レイ法律事務所の佐藤大和弁護士(35)。話題のドラマの裏側を聞いてみた。

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「SUITS」は中島裕翔(25)が経歴成りすましの偽弁護士を、「リーガルVV」は米倉が弁護士資格を剥奪された元弁護士を演じる。

「弁護士の間でも、すごく話題になっています。『SUITS』は小道具監修ということで、訴状を作ったり、裁判シーンの現場をチェックしたり、あと脚本も一部監修させてもらっています」

「リーガルV」はドラマ作りのはじめから関わっている。

「ガッツリと監修させてもらっています。脚本監修ということで、プロットの段階から入らせていただいて、現場から小道具までフルで監修しています」

法律に則したチェックとドラマ作り。時には相反することもある。

「エンタメ要素とリアルな法律のバランスが、すごく難しい。現実の法律を全部入れちゃうと、すごくつまらないドラマになっちゃうんですよ。エンタメ要素をいかに盛り上げて、大切なところでは法律に則したものを作るのが肝心ですね」

「リーガルV」の初回では、痴漢冤罪(えんざい)事件を取り上げた。現実では99%以上が有罪になる裁判だが、ドラマでは逆転無罪となった。

「実はドラマと同時期に公然わいせつ事件を担当していたんです。1審で有罪になったのを、控訴審で僕らが担当して逆転無罪を取ったんです。同じ電車の中の犯罪ですから、それとリンクさせながらいかにして無罪を勝ち取ったかを、ドラマに落とし込みました」

公然わいせつ事件は電車内で下半身を露出させた疑いだったが、実際はポロリしていなかったという案件。

「目撃者の信用性のチェックや、事件の再現というものを事務所内でとことんやりました。あらゆる角度から検証したものを、(制作者側に)依頼者の承諾を得た上で全て伝えて、ドラマに落とし込んでいます」

同じ弁護士ドラマでも「SUITS」と「リーガルV」は大きく違う。

「法廷シーンなどのエンタメ要素なら『リーガルV』。『SUITS』は、法廷外の人間ドラマがある。どちらもできるだけ多くの視聴者が楽しめる要素を、監修者として入れ込んでいるつもりです。どっちの方が好きかは、言ったら怒られちゃう(笑い)。どちらも大好きです」

【取材・小谷野俊哉】

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◆佐藤大和(さとう・やまと)1983年(昭58)3月27日、宮城県生まれ。三重大人文学部卒業後、立命大法科大学院を終了して、09年に司法試験合格。11年東京弁護士会弁護士登録。14年レイ法律事務所設立、代表弁護士。フジテレビ「リーガルハイ スペシャル」「ゴーストライター」「リスクの神様」「大貧乏」、テレビ朝日「黒い樹海」「スペシャルドラマ 緊急取調室」「グッドパートナー 無敵の弁護士」「緊急取調室 season2」「黒革の手帖」「おっさんずラブ」、日本テレビ「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」、AbemaTV「星屑リベンジャーズ」の監修を担当。