俳優藤原竜也(38)と柄本明(71)が舞台「てにあまる」(12月19日開演、東京芸術劇場プレイハウス)で5年ぶりにタッグを組むことが3日、分かった。15年の舞台「とりあえずお父さん」で共演した2人。柄本が“天才だ”と評価する藤原と親子関係を演じ、火花を散らす内容になる。柄本は所属する劇団「東京乾電池」以外で初めて演出を担当することにもなる注目作だ。

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同作は親子、妻、秘書の4人が繰り広げるサスペンスドラマ。主人公の藤原竜也、その父親を柄本を演じ、濃密な会話劇に仕上げられる。

柄本は現在放送中のTBS系日曜劇場「半沢直樹」で大物政治家役で登場し“怪演”が話題になっている。藤原との舞台共演は5年ぶり2度目。前回は、藤原の恋人の元不倫相手が柄本という役柄だったが、今回は長く絶縁状態にあった親子関係を描く。

藤原は前回の共演について「それまで経験したことのない不思議なエネルギーを感じました。負けないように必死でくらいついていった記憶があります。舞台上で柄本さんと毎日“生”の芝居ができたことがうれしく、今回も5年ぶりに共演出来ることは恐ろしくもあり、でもすごく楽しみです」と胸を躍らせている。柄本は「藤原竜也が藤原竜也で藤原竜也だという事に藤原竜也されました。何云ってんだかわかりませんが…、まぁそんな感じでステキでした」と独特の表現で振り返った。

自身の劇団では演出家としての顔を持つ柄本だが、今回はホリプロが企画制作する作品で初めて自身の劇団作品以外の演出を担当する。数々のドラマ、映画、舞台で主役として活躍する藤原が柄本の演出を受けるのも初めてで、注目が集まる。

藤原は「今回は演出も受けることができるとは!果たしてどんな悪巧みをしてくるのか…想像もつきません。劇団員ではない自分が柄本さんの演出を受けられることは、非常に光栄です」とコメントした。柄本は「何で自分が演出という事になったのかよくわかりませんがそんな事になりました」。これまでの会場と比べ「今度の池袋のプレイハウスはとてもデカイ。だからとてもコワイんだけど」と明かした。

脚本は松井周氏が担当し、藤原の妻役には舞台初出演となる佐久間由衣(25)、藤原の秘書役には若手実力派の高杉真宙(24)が決まった。

◆藤原竜也(ふじわら・たつや)1982年(昭57)5月15日、埼玉県生まれ。蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸」の主演オーディションで選ばれ芸能界入り。97年10月にロンドン公演で舞台デビュー。00年「仮面学園」で映画デビュー。同年の映画「バトル・ロワイアル」、09年から「カイジ」シリーズなどで主演を務める。ドラマは、04年NHK大河「新選組!」14年日本テレビ系「ST 赤と白の捜査ファイル」など。178センチ。血液型A。

◆藤原竜也の出演舞台作 97年、15歳で蜷川幸雄氏演出の舞台「身毒丸(しんとくまる)」の主演オーディションで選ばれ、ロンドン公演で舞台デビュー。03年舞台「ハムレット」ハムレット役、04年「ロミオとジュリエット」ロミオ役、05年「天保十二年のシェイクスピア」きじるしの王次役、09年「ムサシ」宮本武蔵役など蜷川作品に多数出演。近年も17年「アテネのタイモン」アペマンタス役、18年「レインマン」チャーリー役、19年「プラトーノフ」プラトーノフ役、19年「渦が森団地の眠れない子たち」佐山鉄志役など出演。

◆柄本明(えもと・あきら)1948年(昭23)11月3日、東京都生まれ。自由劇場を経て76年に劇団「東京乾電池」を結成。92年映画「空がこんなに青いわけがない」で初監督。代表作は映画「カンゾー先生」「悪人」やドラマ「太平記」「功名が辻」、舞台「蒲田行進曲」「浅草パラダイス」など。98年に「カンゾー先生」で日刊スポーツ映画大賞主演男優賞、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞。11年に紫綬褒章、19年には旭日小綬章を受章。175センチ。