先日、新人アーティストのメジャーデビューイベントを取材した。その歌手はあかせあかり。ミニスカが似合う20歳。デビューシングルは「恋ノ行方」で、テレビアニメ「その着せ替え人形は恋をする」のエンディングテーマ。大切な人を一途に想い続けるピュアなラブソングだ。

ここまで書くと、いわゆるアニメ系ジャンルという言葉があるかは未確認だが、その方面のアーティストであることは分かる。

ただ、あかせはそれだけのカテゴリーには納まらない。

フォロワー数が120万を超えるティックトッカーで、100パターン近くの実績がある人気コスプレイヤーで、今はやりのインフルエンサーで、さらに女優でもある。これも言葉は古いが、マルチタレントでもあるのだ。

同曲のMVでは、アニメの主人公、喜多川海夢の制服姿や、本編に登場するキャラクター黒江雫、ブラックロベリアの完成度の高いコスプレ姿を披露。1月9日の公開から、1カ月で300万回再生を突破したことでも、その人気ぶりがうかがえる。

あかせがTikTokをスタートしたのは高3の時だった。「何も考えていなくて、SNSのツールの1つとして始めました」。2年前にTikTokを普通に始めた少女が、あれよあれよとフォロワーを増やし、インフルエンサーにまで上り詰める。これも、今どきのスター誕生のあり方なのだろう。もちろん、本人の自己プロデュースだけではなく、途中からは、彼女の素質や将来性を見いだした芸能界がアシストしていることは事実だが、それにしても、SNSがスターに押し上げたことには違いない。

メジャーデビューについては「スタジオのガラス越しにたくさんの大人がたくさんいてとても緊張しました。人生で最も緊張しました」と振り返る。大勢の大人たちと称しているところがかわいらしい。

ティックトッカー、コスプレイヤー、歌手に加え、女優としてもフジテレビ系連ドラ「顔だけ先生」に出演。「小さいころは女優になるのが夢でした。今後は演技にも挑戦したいですね。好きな女優さんは石原さとみさん。はっちゃけた部分の演技が大好きです」と話す。

マルチな才能があるだけに、今後は、どの方向に力量を当てるのか、選択肢が多いだけに難しい面もある。それだけに、さらなるブレークの期待ができる逸材なのだろう。