AKB48や乃木坂46などを総合プロデュースする秋元康氏(64)が、株式会社オーバースから、暗号資産で資金調達し新たに立ち上げるアイドルグループのプロデュースを依頼された。同社が秋元氏に直接オファーする様子が、8日放送のテレビ東京系「日経スペシャル カンブリア宮殿」(木曜午後11時6分)で放送された。13日、同社代表取締役の佐藤義仁氏と取締役CEOの澤昭人氏が取材に応じ、オファーの経緯や、構想を明かした。

佐藤氏が「そもそも2人とも、アイドルが大好きなんですよ」と明かすと、澤氏も「はい」と笑顔でうなずいた。佐藤氏はももいろクローバーZや私立恵比寿中学、Negicco、まちだガールズ・クワイアなど、澤氏は乃木坂46のファンだという。佐藤氏は大手証券会社で勤務し、最近まで暗号資産業者で役員を務めていた。澤氏は公認会計士で、大手証券会社役員を経て、やはり暗号資産に携わってきたという。

佐藤氏は「暗号資産で資金調達をして、その資金のもとにアイドルを立ち上げてみないか、という話を2人でしました」と振り返り、「実際にアイドルグループを作るなら、AKB48や乃木坂46に匹敵するようなグループにしたい。実績や知名度、インパクトを踏まえても、秋元先生しか考えられないと思いました」と熱弁した。

暗号資産やNFT(非代替性トークン)、メタバース(仮想空間)などを活用し、リアルでもオンラインでも活動する新時代のアイドルを想定しているという。佐藤氏は「資金調達はあくまでも手段であって、実際にグループが立ち上がった後は、暗号資産を活用していただくような応援方法や、NFTなどを絡めてアイドル活動を展開できる、とかなり強く秋元先生にアピールしました」と明かした。

また佐藤氏は「もちろん日本国内がメインではありますが、海外を含めた展開も想定しています。AKB48グループにも海外の拠点で活動しているグループもありますし、AKB48、乃木坂46で海外公演の実績もある。知見やノウハウ、そういった点でも秋元先生以外にいないと思いました」と強調。澤氏も「秋元先生はアジア各国でも有名ですし、やっぱり世界展開という面でも、最も適されているんじゃないかと感じました」と説明した。

新たな暗号資産を発行して販売した資金を原資にアイドルグループを立ち上げ、NFTなどのトークンをアイドルの応援に活用する。暗号資産やトークンの保有状況によってファンの活動に還元したり、何かしらの恩恵や優位性を持たせたりすることも考えているという。

また佐藤氏は「暗号資産やトークンの一部を我々が自社でプールして、アイドルがグループを卒業する時に、退職金としてお渡しすることも考えています」と打ち明けた。「メンバーのおかげで成り立っているものなので、やっぱり我々としてはすごくそういう人たちを大事にしたい」と説明した。

澤氏も「卒業した後もサポートできるということでもありますし、グループが大きくなればなるほど普通は暗号資産の価値が上がっていくので、メンバーもファンの方々もウィンウィンの関係になれると思う」と述べた。佐藤氏は「今、日本のアイドルが抱えている課題も、全てではないですけど、暗号資産を使いながら解決していけるんじゃないかと」と言葉に力を込めた。

現在は秋元氏にオファーしている段階。プロデューサー決定後はオーディションを行い、ゆくゆくはデビューを迎える。澤氏は「どういうグループになっていくのかは、オーディションをやってみて、どういう人が集まってくるのかにもよると思います」とした上で、「日本のアイドルを世界に、というコンセプトではあるので。そういうグループになれば、とは思っています」と願った。 【横山慧】