”かわいい”と”かっこいい”を両立させる。2016年に「かわいすぎる美少年」として突如デビューした俳優ゆうたろう(24)が活躍の場を広げている。3月末まで放送していたテレビ東京系ドラマ「来世ではちゃんとします3」では女子顔負けの女装男子役を好演して話題となり、13日開始のカンテレ・フジテレビ系ドラマ「全ラ飯」(木曜深夜0時25分)ではボーイズラブ(BL)にも挑戦。ドラマに舞台と今後も出演作が続く若手注目株が取材に応じ、”現状打破”でのさらなる飛躍を誓った。

細身にパステルカラーのファッション、そして帽子とメガネ。”かわいい”を凝縮したような姿だった少年も、今年で25歳となる。ゆうたろうは「最近は顔つきが大人になってきたなと感じています。今できる、求められていることをやりつつ、これまでのイメージを脱却していきたいなという気持ちもあります」と力を込める。

大阪の古着屋店員として働いていた少年が芸能界へと進んだのは2016年。東京・原宿にも出店することになり、上京していた際の出来事だった。当時、ファッションイベントに力を入れていた現所属事務所の催しに店舗として参加した際に、社長の目に留まった。存在感抜群の美少年だったゆうたろうはテレビからの出演オファーも受け、日本テレビ系「マツコ会議」、同局系「行列のできる法律相談所」などに立て続けに出演。「全部、東京にいた1カ月くらいの間の出来事でした」。状況もうまく飲み込めていなかったが周囲の勧めも受けて芸能界入り。「当時は16、17歳くらいで。職場体験ぐらいで、ちょっと出て飽きられてすぐ終わるんだろうなと思っていました」。

テレビ出演を機にSNSのフォロワー数は一気に約10万人増えた。私服としてスカートやワンピースも着るなど、個性的なファッションも注目された。「今でこそ、ですけど当時はまだ物珍しい感じで。まわりは『何なんだこの子は』って反応でしたね」。

中世的なキャラクターとしてのイメージが広まったことが「来世では-」の女装男子役や「全ラ飯」でのBLへとつながった。「『来世ちゃん』の女装男子役は過去のどの写真よりもSNSで反響がありました。業界の人からも知ってもらえるきっかけになった作品で、自分の大きな武器に出会えたような瞬間でした」と感謝する。「全ラ飯」出演にあたっては担当プロデューサーから直々にメッセージをもらったといい「この役を僕にやってもらいたくて書いたというオファーをいただいて。作中では包丁を持って料理もしますし、今までは実年齢より下の役が多かったですが、今回は26歳の役。新たな挑戦もあって、一皮むけられる作品になると思っています」。

4月15日に初日を迎える舞台「幾つの大罪~How many sins are there?~」(東京・EXシアター六本木ほか)ではトランスジェンダーの囚人役を演じる。”ジェンダーレス男子”と形容されるにふさわしい配役が続くが、自身については「中身はおっさんみたいなので」と明かす。「パステルカラーのファッションも好きでやっていたし、ファションとしてレディースも着ていましたけど、女の子になりたいわけではないんです」と語り「これからは今までのイメージを脱却する役にも挑戦したい。猟奇的なものや、殺陣のある男らしい強い役ですね。最近はそういう役のオーディションも受けに行っています」とこれまでにはなかった自身の可能性も探り始めている。

”職場体験”だと思っていた芸能界は、自分の居場所だと思えるようにもなった。中学時は「いじめられたわけでも家庭環境が理由とかでもなく、単純に何でここにいなきゃいけないんだろうと学校に行く理由を見つけられなかった」と不登校気味だった。高校進学はせず、好きだったファッションをきっかけに故郷の広島を離れて大阪の古着屋店員へ。今では同じく不登校となっている学生の相談相手となることもある。

「自分の経験を誰かに与えることもできるんだなと。芸能活動も続くと思ってなかったですが、いつの間にか楽しんでますし、学生時代は叱られると逃げていましたが、役者としては続けられています。昔は思ったことを毒舌な感じで全部言ってしまっていましたが、この世界で磨かれて、受け手の気持ちもわかるようになりました。初めてしっくりきた仕事だなと。20歳くらいの頃から、これがやりたかったことだと前向きに考えられるようになりました」。

古着屋の社員としての籍も残しており、年末年始など限られた時間で店舗に立つこともある。「古着が好きで、大阪のお店に通って少しずつオーナーに認めてもらって入れてもらったからこそ今があるので。面倒を見てもらった分、そうしたつながりのきっかけを僕もお客さんに与えられたらなと思っています。辞める理由はないですね」。

人として、役者として、さらに成長する20代にする。「かわいいと言われることが多いですが、これからはかっこいいとも言われるように。ギャップも見せていきたいですね。いただいた仕事の期待に応えつつ、常にいろんな可能性をもたらせるよう、これからも頑張っていきたいです」。少年から大人になる。ゆうたろうの伸びしろは、まだまだ先にある。

【松尾幸之介】

 

◆ゆうたろう 本名非公表。1998年(平10)6月3日、広島県生まれ。中学時に不登校となり、卒業後は高校進学せず大阪で古着屋のショップ店員へ。原宿店開店時の上京時に現事務所社長の目にとまり、17歳で芸能界へ。かわいすぎる美少年としてテレビ番組などに取り上げられ、17年に役者デビュー。18年「3D彼女 リアルガール」で映画初出演。主な出演作は、映画「かぐや様は告らせたい」「殺さない彼と死なない彼女」「チェリまほ THE MOVIE~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~」、フジテレビ系ドラマ「シャーロック」、Netflix「FOLLOWERS」など。4月20日初日の朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」(東京・俳優座劇場)の劇中オリジナルドラマにも出演。身長165センチ。