7日に還暦を迎えた吉本新喜劇女優の未知やすえ(60)が11日、大阪市のなんばグランド花月(NGK)で、「未知やすえ60祭 還暦記念特別公演~お祝いしてくれなきゃ脳みそストローでちゅーちゅーしちゃうぞ~」を開催。薫陶を受けてきた桑原和男さんを亡くした悲しみを抑え、公演をやりきった。

公演は未知の歌手デビュー曲「めっせいじ」でスタート。「時々おっさんの声が出ました」と照れながらも、スクールメイツを従え、昭和アイドルばりの舞台でファンを魅了した。

続いての新喜劇では夫の内場勝則と共演。さらに、未知が「好きすぎてたまらんかった」という俳優北村一輝が借金の取り立て役でゲスト出演した。

エンディングでは、シンガー・ソングライターの円広志が書き下ろし、この日から配信開始となった夫婦デュエット曲「ちぐはぐ最強夫婦」を披露。「今日はクソ暑いなか、ありがとうございました」と締めくくった。

公演後、取材に応じた未知は「無事に終わったな。ホッとしているのと、自分も舞台に立ててうれしかった。お客さんに楽しんでいただいているのを感じたので、それだけで満足です」と充実感を漂わせた。

公演前日の10日、桑原さんが老衰のため、神戸市内の病院で87歳で亡くなった。未知は「おにーさん、見に来てくださいねとお願いしながらやってました。先輩方がいて、私たちがいる」と思いながら、この日の舞台に立っていたと明かした。

新喜劇座員が結婚した場合、夫婦どちらかが座員を辞めるのが“通例”だった時代、桑原さんの「ほんまの夫婦やのに、よーやるなー」とツッコミで観客が大爆笑したという。

未知は桑原さんは、「客が思っている声」を舞台上で言ってのけ、笑いに変えてくれたことに「すごい助けられた思い出が大きく残ってます」と感謝。内場も「舞台には厳しい方でしたけど、そういうところはウエルカム。夫婦どちらかが辞めないといけない時代で、僕らも周りもどうしたらいいか分からないのをガス抜きしてくれた」とうなずいた。