今週末にはドバイ国際競走が行われますが、今年は中東情勢の悪化で遠征を回避する馬も多く出ています。イランからの攻撃を受けていると聞きますし、一方で競馬場では無事に調整できているとも聞きます。第三者の立場では、どの選択が正しいのか分からないのが正直なところです。
こんな状況で競馬をやっていいのか? 私がそう思わされたのは、15年前の東日本大震災の時です。直後は競馬だけでなく、日本中でほぼすべてのスポーツやギャンブルが中止となりました。調教をやっている場合ではなく、被災地でお手伝いをした方がいいのではないか。そんなことを考えたりもしました。
それでも私たちにできるのは、やはり競馬で日本を盛り上げることしかありませんでした。当時はすでにドバイ国際競走へ向けて、ウチの厩舎からヴィクトワールピサとルーラーシップが現地で調整されていました。スタッフには「他の厩舎でもいいから、なんとか日本の人たちが喜べる競馬をしてほしい」というようなことを伝えていました。
私もレース前にドバイへ行きましたが、みんなで「HOPE」と書いたおそろいのポロシャツを着て、厩舎の枠を超えた「チームジャパン」としての団結を例年以上に感じました。そして、ご存じの通りヴィクトワールピサがワールドCを勝ってくれて「馬はこんな奇跡を起こせるんだ」と涙が出ました。勝った後には、いろんな方から「勇気をもらった」などと声をかけてもらえました。
かつての私は「どうやったら勝てるか」ばかりを考えていました。しかし、ウオッカでダービーを勝たせてもらったあたりから、競馬はただのギャンブルではなく、感動を与えられるスポーツでもあるということに気づかされました。あの年のドバイワールドCでは、それをあらためて実感できました。
スポーツやギャンブルは、平和の象徴でもあると思います。今年のドバイ国際競走も、まずは何より無事に開催されて、すばらしいレースになることを願っています。



