パラリンピック開幕まで約50日。『水の女王』の復活物語が輝き増してきた。

 女子50メートル自由形(S5クラス)で、リオデジャネイロ・パラリンピック日本代表の成田真由美(45=横浜サクラ)が、自身の持つ日本記録を8年ぶりに更新して優勝した。予選で39秒70をたたき出して、08年北京パラリンピックで樹立した39秒96を更新すると、決勝でも39秒91の好タイムで圧勝した。

 8年前の自分を超えた成田は、当然と言わんばかりの顔で「きつい練習をしてきましたから、記録は出せると思っていました。決勝は予選を上回る記録を狙ったのでちょっと残念ですね。でも40秒を2度切れたことには手応えを感じています」。練習量は金メダル7個を獲得した04年アテネ・パラリンピック当時よりも増したという。

 パラリンピックでは96年アトランタ大会から08年北京大会まで日本最多の金メダル15個を獲得。北京大会後に第一線から退いたが、昨年、本格的に復帰した。練習量を増やす一方、食事メニューの栄養配分に自ら神経を使い、昨年からはトレーナーと契約して週3回、体をケアすることで、年齢に徹底抗戦している。「私が記録を出す姿を見てくれれば、年齢なんか関係ないということは、言わなくても伝わるはず」。

 同種目の世界記録は35秒88。リオでメダルを取るには、38秒以内のタイムが求められる。「あと1カ月、ケガをしないように気をつけて、リオでは悔いのない泳ぎをしたい」。水の女王の復活物語は、2大会ぶり5度目の夢舞台でクライマックスを迎える。【首藤正徳】