選手交代を含め、もう少し早い時間帯で2点目を取りにいく仕掛けが欲しかった。守ってカウンター狙いだけでは厳しい。リスクを冒してもサイドバックが上がるようなことが必要だったんじゃないかな。結局相手を楽にさせてしまい、途中出場の攻撃的選手も、相手が疲れているはずの時間帯に違いを見せられなかった。

「守ってカウンター」というのは最も疲れるサッカーだ。相手が30メートル走るのに対し、60メートル走らされるようなもの。格上相手にはそうするしかないだろうが、この日は勝てる相手だった。もちろん必死に守った前戦ウルグアイ戦の消耗は否めない。だから、前半からサイドバックの攻撃参加が物足りなかった。中島のドリブルからのループシュートも、もう1歩2歩前に踏み込めないところに疲労を感じた。チャンスをものにできない日本代表の決定力不足は相変わらずだが、今回はいわゆるスタミナ不足も敗因の1つとみる。

それは選手層の問題でもある。DF陣は2戦連続で激しい守備を強いられた後で、メンバー変更もできない現実。この日、最も目立ったのは柴崎だ。フリーで球を受ければミスをしないし、DF陣をよくサポートした。オーバーエージ世代の柴崎に対し、東京オリンピック(五輪)世代は「経験が少ないから」という慰めの言葉もあるだろうが、若いなら「経験はなくとも、体力で頑張ってくれ」と言いたいね。

1次リーグ突破のチャンス、この日勝利をつかめるチャンス、得点できるチャンスがあったのに、ものにできなかったのは本当に残念だ。脅かすことはできても、勝てない。小さな差に見えて、大きな差だ。1次リーグ敗退ではただの「思い出」にしかならない。三好はもう1点、勝利を決定づけるゴールを奪っていたら、評価が大きく変わっただろう。

強豪国と親善試合ではない“ガチンコ勝負”の機会がいかに少ないか、日本サッカー界の課題だ。今回の経験を「収穫」だったと言えるかどうか、東京五輪での結果次第になる。そこで挽回してほしい。(日刊スポーツ評論家)