日本代表MF堂安律(20=フローニンゲン)が、前線をけん引した。デビュー戦から4試合連続出場。前半26分に決定機を外し、10月のウルグアイ戦に続く2試合連続ゴールにはならなかったが、存在感を発揮した。南野、中島と形成する2列目の“若手三銃士”の攻撃力は抜群。右サイドを務める堂安の成長曲線は止まりそうもない。

堂安が無限の可能性を感じさせた。前半26分、完璧な連係だった。南野、大迫とパスを回し、右サイドの堂安へ。後ろ向きで受け取るも、左足でボールを触りながら一瞬で反転して前を向いた。飛び出したGKを横目に右足でシュートを放ったが、わずかにゴール左。2戦連発を逃し、顔を覆って悔しがった。だが高い技術が凝縮されていた一連の流れだった。

「決め切れるか決め切れないかが、上にいけるかいけないか。個人的にすごい好機はあったし、反省するべき。GKの(自分への)距離の詰め方が良かったので威圧感があった」

チームバスの到着が遅れたが、国際Aマッチ4試合目でも動揺しない精神力がある。逆に「頭の中が整理できた」と言ってのける。長年、G大阪下部組織を指導する鴨川幸司さんは、中学時代の堂安を「(本田)圭佑みたいやなと思ったことがあった」という。

中1のスペイン遠征の時だった。道具の準備を怠った選手に怒った鴨川さんは「走っておけ」と指導。だが、堂安は「僕たちがしたことは悪いです。日本に帰ってから走ります。だけど、せっかくここまで来させてもらったから練習させて下さい」と直訴。その姿に鴨川さんはG大阪下部組織に所属していた中学時代の本田を思い出したという。本田も「走るより練習させて下さい」と言っていた。日本代表で時代を築いた本田をほうふつとさせる言動。堂安の言動は日本代表の未来を感じさせる。

無得点に終わったが、大迫、南野、中島と形成する前線の連係は試合を重ねるごとに深まっている。堂安も「話さなくても感覚が合う。今日の感覚はすごく良かった」と満足し「個人的にも今までで一番、仕掛けられたシーンが多かった」と、右サイドからの打開に手応えも得た。

来年1月のアジア杯まで残り1試合。キルギス戦では、10月のウルグアイ戦以来のゴールを目指す。「点を取らないと意味ない」。オランダを主戦場にする20歳の言葉に期待は膨らむばかりだ。【小杉舞】