【サロンドプロバンス(フランス)=松尾幸之介】20年東京五輪世代のU-22日本代表は同ブラジル代表に1-1で迎えたPK戦を4-5で敗れ、初優勝を逃した。

前半39分にFW小川航基(21)が同点ゴールを奪い、後半も好機をつくるなど、4試合を15得点無失点で勝ち上がってきたサッカー王国相手に互角に渡り合った。南米選手権に出場するA代表に選ばれなかったメンバーが大会を通じて成長。地元開催の五輪へ大きな経験値を得た。

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東京五輪を目指す若武者たちが大会屈指の強豪ブラジルを最後まで追い詰めた。前半19分に先制されるも、同39分に味方GKのロングフィードから相手DFと激しく競り合ったFW小川が、浮いたボールをダイレクトで蹴り込んだ。「隙が出ると思いましたし、あのプレスで勝負あった」と振り返るシュートで、ここまで無失点だった相手から初めて得点を奪った。

試合は1-1のままPK戦へもつれ込み、両チーム全員が成功して迎えた日本の5人目、FW旗手のシュートがGKに止められ初優勝は逃した。それでも世界各地から有望株が集まり「スター登竜門」とも言われる舞台で健闘し、試合後は地元フランスの観客からも「ニッポン」コールと温かい拍手が響いた。

主力不在の影響を感じさせない戦いぶりだった。同時期に開催している南米選手権に出場するA代表23人中18人中が東京五輪世代。そこには選ばれなかったメンバーが試合を重ねるごとに成長した。誰もが「トゥーロンで結果を残せば(序列が)ひっくり返ることもある」と練習から気合をみなぎらせた。決勝で主将を務めたGKオビは「自分たちの立ち位置を僕らは理解しているつもり。みんなが同じベクトルを持ってやれた。自分がPKをしっかり止めていれば勝てた」と唇をかんだ。

不在の森保監督に代わって指揮を執った横内監督代行は「先に点を取られても下を向かずに選手はやり続けてくれた」と感謝。「この悔しさを忘れず、次の招集時にはもうひと回り成長した彼らとまた一緒にやりたい」。東京五輪まであと約1年。まぶしい日差しが照りつける南フランスで得た経験が、その競争をさらに激しくさせる。