【ロンドン29日(日本時間30日)=佐藤成】日本代表が、W杯北中米大会のメンバー発表前、最後の英国遠征に出ている。まずはスコットランドに1-0。今回から増えた交代枠を「10」使いながら、W杯7大会ぶり出場の伝統国を撃破。得た手応えとは-。

日刊スポーツの担当記者がゲームの機微や舞台裏に迫る「Nikkan eye」。今回は2列目のシャドー(トップ下)ポジションに焦点を置く。チームはグラスゴーから当地入り。聖地ウェンブリー競技場でのイングランド戦に向けて、MF佐野海舟(25=マインツ)がFWハリー・ケーン封じのイメージを膨らませた。

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“2列目問題”を解決に導く、象徴的な決勝点だった。スコットランド戦の後半39分、右ウイングバック(WB)のMF伊東が中央に運び、左WBに投入されたMF中村とパス交換。左のシャドーで起用された三笘に展開して左サイドを崩し、最後は中央に入った伊東が仕留めた。右シャドーの堂安もゴール前に詰めており、分厚い攻撃だった。

この場面、注目すべきは中村と三笘の位置が入れ替わっていたことだ。内側に中村、大外に三笘がいたことで相手は混乱。これまでは、どちらかが先発で後半に交代することが多く、両雄は並び立たなかったが、同時起用で1つの可能性が見えた。中村は「交互に入れ替わったり、外に行ったり、中に行ったり」と自在で、手応えを得た三笘との新たな関係性も歓迎した。

試した背景には負傷者の続出がある。アジア最終予選ではシャドーの主軸が南野、久保、鎌田だったが、上の2人を欠き、調律を一手に担う鎌田はボランチ起用が濃厚。新顔の発掘と既存主力組の有効活用が今シリーズの大テーマだった。

一方、エース三笘は武器のドリブルを最大限にチームへ還元するためワイドに配置されてきた。ところが南野に本大会絶望の報道が出て、間に合わない悲運も想定すると、内側に回して中村と同時に出場させるオプションがあってもいい。三笘本人も「1つ内側で受けることで、よりゴールに近いところまで運べる部分は大きい。押し込むことができる。サイドよりも効果があるかな」と実感した。

成果は波及し、右サイドも活性化。得点を決めた伊東は「ポジションを変わりながらスムーズに攻撃できていた。サイドから中に入って、律がサイドに流れる時も『中、入って』という声掛けだけで臨機応変に変えられた」とうなずいた。

右の2人は、昨年10月にブラジルを史上初めて破った時にも試されていた。最終予選では堂安の先発から伊東の途中出場が鉄板だったが、ブラジル戦は伊東が内側で堂安が外側。ともに守備強度も高く、位置が変わってもバランスはいい。

熟練の4人が変幻戦術を織り成す前は、若手もテストした。前半はMFの佐野航と鈴木唯のパリ五輪世代を、森保監督は2列目に並べた。一定の役割は果たしたものの、W杯切符を渡すほどのパフォーマンスは披露できなかっただけに、より常連勢が際立った形だ。

本大会の開幕まで約2カ月半。これが7大会ぶりW杯のスコットランドではなく、優勝候補イングランドにも通用すれば「W杯優勝」の言葉も説得力を持つ。

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