日本代表の長谷部誠コーチ(42)が20日、千葉市内で取材に応じ、コーチとして初めて臨むW杯北中米大会への思いを口にした。選手として10年南アフリカ大会から3大会連続で出場し、24年9月から代表コーチに就任。5大会連続出場のDF長友佑都(39=東京)には強い信頼を明かし、メンバー26人へ現役時代の経験を還元すると誓った。過去3大会に出場した元主将が、選手の心を整える。
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3度立った舞台に、立場を変えて戻る。長谷部コーチは3週間後の“初舞台”へ「まだ正直実感は湧いていない」。ただ「覚悟を持って、あとは突き進むだけ」と、強い思いを示した。
24年に現役引退し、同年9月に代表コーチに就任。EフランクフルトU-21のコーチと兼任だったが「W杯にかける思いが強かった」と今年は日本代表に専念。欧州を拠点に代表選手を視察。メンバー発表直前まで負傷選手のトレーニング状況を現地で確認した。現役と違い「体を使う勝負ではない。頭はフル回転して、試行錯誤しながら準備している」と日々を過ごす。
3大会の経験を選手に伝える。今回は半数の13人が初出場。「ナーバスにならないように」と向き合い方を考える。「W杯はあっという間。どこでスイッチを入れて、ピークを持って行くかが大事」と調整に余念がない。DF冨安、MF遠藤ら負傷明けの選手も多い。14年ブラジル大会前に右ひざを負傷し、直前で復帰した経験を持ち「試合に出なかったことで疲労がたまらず、フレッシュな部分もある」と不安を抱える選手に助言する意向を示した。
ピッチには心強い戦友がいる。長友とは10年から3大会連続で共闘。5大会目は「世界でも本当に数えるほどしかいない」と称賛した。22年カタール大会前のドイツ遠征では当時現役だった長谷部コーチも、メンバー外ながらチームに同行。「2人でホテルのロビーで、彼の思いをずっと聞いていた」。当時からの強い思いを知り「ピッチで示してもらいたい。彼の経験値はいい影響を与える。エネルギーをチームにポジティブに吹き込んでくれる」とコーチとして、期待を寄せた。
ベスト16の壁の高さを知るが「日本サッカー界が積み重ねてきたものがある」と自信を見せる。残り21日。「選ばれた選手、選ばれなかった選手がいる。多くの思いを胸に刻み、覚悟を持って前に進んでいきたい」。自分の心も整えて、大舞台に臨む。【飯岡大暉】
◆長谷部誠とW杯
◆10年南アフリカ大会 大会直前に岡田武史監督からゲーム主将に任命される。1次リーグ(L)全3戦で先発出場し、2勝1敗で2大会ぶりの決勝トーナメント(T)進出。決勝T1回戦パラグアイ戦で先発フル出場もベスト16で敗退。
◆14年ブラジル大会 右ひざを負傷し、2度の手術を行う。開幕約1カ月前に実戦復帰。ほぼ“ぶっつけ本番”で1次L全3戦で先発したが1分け2敗で敗退。
◆18年ロシア大会 主将として2戦目まで先発フル出場。3戦目のポーランド戦は後半37分から出場し、負けている状況ながらボールを回した。1勝1分け1敗で決勝Tに進み、1回戦のベルギー戦で先発フル出場も2-3で敗戦。この大会限りで代表引退を表明。

