10人で耐えた。J2札幌は、大宮に引き分けた。後半16分にDFパウロン(25)が、相手選手に後ろからタックルし1発退場。数的不利になったが、その後は体を張った守備で大宮の攻撃をはね返し、敵地で貴重な勝ち点1を獲得した。FW都倉賢、前田俊介(ともに28)ら主力欠場でスクランブル状態も、8日で3戦の連戦初戦を、上々の形で乗り切った。

 体を張れ-。バルバリッチイズムたっぷりの闘争心あふれる戦いで、札幌が意味のある勝ち点をつかんだ。1-1の後半16分にDFパウロンが退場。数的不利になったが同17分、ゴール正面からのカルリーニョスの強烈なFKをGK金山がパンチング。同29分、ゴール前のこぼれ球を河合がクリアすると、同32分には横谷のミドルを、MF上里が体を張ってブロックした。

 ボランチとして4戦連続先発のMF稲本は「個の力の高い相手に、アウェーでの勝ち点1。向こうより僕らの勝ち点の方が大きい。こういう勝ち点は後々生きてくる」と言った。0-0の前半14分、右CKでファーサイドに飛び込むと、相手選手に倒されPKを獲得。ナザリトの先制点を呼び込んだ。「大宮にとっては厳しい判定だったかと思うが、これもサッカー」。経験豊富なベテランのかけひきで誘発した1点が、最終的に勝ち点をもたらした。

 連戦前のスクランブルを、チーム一丸で乗り切った。大宮戦2日前の27日にFW都倉が右太もも裏の張りで離脱すると、前日28日の練習中に、切り札的存在だったFW前田が首痛を訴え離脱。緊急事態となり、当初、メンバー入りの予定がなかったMF菊岡が、練習を早めに切り上げ準備を始め、チームバス出発後、新千歳空港で合流した。さらにベンチには今季初メンバー入りの20歳神田、J未経験の19歳前寛も入るなど、主力組、控え組関係なく総力で耐えた90分だった。

 「課題はあるが、最後まで体を張って守り抜いたことは、よくやったと言いたい」とバルバリッチ監督。3月4戦は2勝1分け1敗の勝ち点7で終えた。勝率5割超えはならなかったが、自動昇格圏の2位磐田に勝ち点2差の7位をキープ。上々の滑り出しを見せた札幌が、4月攻勢に入る。【永野高輔】