3戦連続ドロー-。J2札幌は横浜FCに引き分けた。後半20分に、MF小野伸二(35)が2試合連続で途中出場。同31分には横浜FC三浦知良(48)も途中出場し、07年12月1日以来2772日ぶりの直接対決となったが「カズ討ち」はならなかった。敵地不敗は00年のクラブ最長11試合に並ぶも、前半最終戦を白星で飾れず、8勝10分け3敗の勝ち点34で順位は6位のままだった。

 雨の中、札幌が慎重に勝ち点1を拾った。0-0の後半20分、バルバリッチ監督はFW内村に代え、小野を2戦連続で起用した。前半は攻め手をつくりきれずにいた札幌が、44番のタクトで、徐々にリズムをつかみ始める。同32分にカズが途中出場。07年12月1日以来、2772日ぶりに、偉大な先輩と同じピッチに立つと、的確な指示と巧みな配球術は、さらに鋭さを増した。

 同39分、神田からのパスを受けたMF堀米の左クロスに、小野が走り込む。左足でのシュートは、惜しくもゴール上へ。「いいチャンスもあったし、そこを決めきらないと。堀米とは、準備していたのに決めきれなかった。自分に足りないところ」。3試合連続の勝ち点1に反省の弁が先行した35歳だが、今季最長25分間のプレーで、攻撃に必要なピースであることを十分、示した。

 前半最終戦。35歳のMF稲本が体調不良、29歳のFW都倉が右太もも裏の違和で欠場した。前線と中盤の核不在を受け、バルバリッチ監督は22歳の荒野を6戦ぶり、ボランチは20歳の深井を初めて先発させた。平均年齢は今季最年少の23・82歳。終盤は小野が、堀米、神田ら若い選手を“操縦”し、新たなチャンスの芽も生まれた。指揮官は「若い選手がよくやってくれた。勝ち点3に届かなかったのは最後の質。若い選手にゴール前での落ち着きをつけさせるには試合で使っていくことも大事」と、後半戦への手応えを口にした。

 残り21戦。夏を迎え疲労がたまる中、総力のレベルアップが求められる。主力不在の中でつかんだ、収穫と課題。小野は後半戦に向け「サッカーは勝つことが醍醐味(だいごみ)。後半戦は勝ちきるための貪欲さを出していかないと」と言った。敵地で負けなかったことをプラスにとらえ、課題である攻撃の精度に磨きをかける。【永野高輔】

 ◆Jリーグのアウェー不敗記録 J1最多は磐田が01年第2ステージ(S)第4節から03年第1S第9節まで続けた23勝3分けの26試合。J2は甲府の19試合が最多で、12年第5節から第42節まで11勝8分け。14年第34節から敵地で不敗の札幌は、この日の引き分けで16試合(7勝9分け)まで伸ばした