高く跳んだ。青森山田のMF高橋が再び勝負強さを発揮した。0-0の後半31分。DF北城が左から上げたクロスを高い打点でねじこんだ。「全力で走っていたので高く跳べた。常にゴールを狙う姿勢があった。4得点はうれしい」。後半ロスタイムに決めた大社(島根)との1回戦に続く決勝ヘッドで、今大会4得点。得点ランク2位タイまで浮上し、準優勝した09年度大会以来の4強に導いた。

 先発唯一の青森市出身の高橋は終盤になるほど力を発揮する。80分間集中力を維持できるのは、冬場のトレーニングで培ったスタミナがあるからだ。雪が降る3カ月間、ボールを3つ使った50人対50人の雪上サッカーを1日20セット行う。3点取られると罰走で新雪が降り積もるグラウンドをかき分けて走ることで、足腰が鍛えられる。

 攻撃的な姿勢も、得点を引き出している。「黒田監督からは、パスで終わる選手になるなと言われ続けてきた。前に行く意識が結果を生んでいる」。下半身強化で培った粘りに加え、前に出る積極性を身に付けて急成長。2年生ながら今季のプレミアリーグEASTではMF神谷に次ぐチーム2位の8点を挙げた。

 鹿島柴崎が導いた09年度大会の準優勝に憧れて、青森山田中に進学した。「チームとしてまとまっている。苦しい練習を乗り越えられているのが勝利の要因」。粘り強く走り続ける高橋が、悲願の先輩超えに挑む。【高橋洋平】

 ◆高橋壱晟(たかはし・いっせい)1998年(平10)4月20日、青森市生まれ。青森FCでサッカーを始め、青森山田中3年時には全中優勝。178センチ、72キロ。家族は両親と弟。血液型O。尊敬する選手は鹿島柴崎。

 ◆2年生得点王 首都圏開催となった76年度以降、過去に14人。最近では11年度の四日市中央工FW浅野拓磨(現J1広島)、12年度の京都橘FW小屋松知哉(現J1名古屋)がいる。02年度に2年生で得点王となった国見FW平山相太(現J1東京)は3年時の03年度も得点王を獲得。現在J1広島で活躍するMF柴崎晃誠も国見時代の01年度に2年生で得点王となった。なお、1年生で得点王は83年度の清水東FW武田修宏だけ。