仙台のFWウイルソン(31)の退団報告会見が1日、クラブハウス内で開かれた。「今までの応援に本当に感謝している。自分のサッカー人生で忘れられない5年間でした」と振り返った。自身の後継者に「ベガルタの歴史に残る選手になって欲しい」と、FWハモン・ロペス(27)を指名した。

 会見の終盤、1年目の12年から2年間を共にした手倉森誠元監督との関係に話が及ぶと、ウイルソンのまぶたから熱いしずくがこぼれ落ちた。「(入団後に)『震災の後に来てくれて本当にありがとう。一緒に頑張ろう』と声をかけられて、そのおかげでやってやろうという気持ちになった」。この年、13得点を挙げてクラブ史上最高の2位に貢献した。「復興に少しでも貢献できたことを誇りに思います」と語った。

 来季も、Jリーグのクラブでの現役続行を希望する。「J全体が好き。高いレベルのところでプレーしたい。まずは強いウイルソンに戻りたい」。仙台との対戦の可能性について聞かれると、「大好きなサポーターを相手にするのはつらいです」と複雑な心境を語った。会見後、連日のファンのサインに応じた。涙は見せず、笑顔の“仙台の王様”に戻っていた。【秋吉裕介】