J1鹿島アントラーズは4日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の影響で未消化だったガンバ大阪戦(5日、吹田S)に向けた最終調整を茨城・鹿嶋市内で行った後、台風の悪天候の中で羽田空港から決戦の地に移動した。

 2日の柏レイソル戦(柏)で出番がなかったFW鈴木優磨(21)は、FW金崎夢生(28)の同点弾などに、ピッチに入るほど喜びあった場面を思い出し「イエローカードもらいそうでした」と苦笑い。現在3枚もらっており、G大阪戦が累積警告で出場停止になる危機だった。

 敵地のガンバ大阪戦には、特別な思いがある。プロ2年目の昨季Jリーグ開幕戦。吹田スタジアムのオープニングゲーム。後半途中から出場して得点。1-0の勝利の立役者となり、その後の出場機会につなげた。同会場で開催された昨年12月のクラブW杯準決勝ナシオナル・メデジン(コロンビア)戦では、わずか8分の出場で1ゴール。Rマドリード(スペイン)FWCロナルドをまねたゴールパフォーマンスも注目され、知名度が全国区になった舞台でもある。

 だが、今は試合に出ることが楽しくて仕方がなかった初心を胸に、もがいている。大岩剛新監督(45)就任初戦のサンフレッチェ広島戦(Eスタ)こそ先発したが、リーグ4連勝のチームの中で、その後は出場機会0分。6月25日のアルビレックス新潟戦(カシマ)ではベンチ外の悔しさも味わった。「今、懐かしい感じなんです。1年目の初々しい気持ち」。目の輝きは、ギラギラしていた。

 途中出場が多かったものの、Jリーグと天皇杯の2冠に加え、クラブW杯準優勝に貢献できた2016年だった。今季序盤も開幕前から得点を量産。「出られて当たり前と思った時期もあった。ポジション争いがある中で、1からやるのは久しぶり。乗り越えてこそ、もっと成長できると思う」。悔しさの中でも、屈辱を発奮材料に切り替えられてもいる。

 結果が良薬となることを自身も信じている。「吹田もガンバも点をとれる良いイメージがある。オレにとってはホームのような感じ」と力強かった。リーグ、天皇杯、クラブW杯の吹田スタジアム全4戦で86分間出場し、2得点の「吹田男」。勝てばJ史上初のアウェー全勝での折り返しだけでなく、首位に浮上する。「首位で折り返せるのはデカイ。練習でも調子も良いですし、決められる気がするんですよね」。スーパーサブとして、リーグ12戦無得点の鬱憤(うっぷん)も晴らす、大阪の夜にするつもりだ。【鎌田直秀】