ベガルタ仙台のMF茂木駿佑(21)が、精度の高いプレースキックを連発し、レギュラーメンバー入りへ向け猛アピールした。チームは28日、糸満市西崎陸上競技場でセットプレーの確認を中心に調整。この中で茂木は、左右のCKと長短のFKでピンポイントに鋭く落ちるキックでゴールを脅かし続けた。今日29日の鳥栖との練習試合で得点に絡み、沖縄キャンプを締めくくる。

 南風に乗った茂木のキックがゴール前で鋭く落ちる。相手DFが戸惑う、わずかな隙を狙い澄ましたかのように、力強くドライブのかかったボールを何度も放り込んだ。ミスキックは0本、完成度の高さを見せつけた。

 練習を終えたGK陣も茂木の球質に感嘆の声を上げた。ゴールを許したGKシュミット・ダニエル(25)は「いいボールを蹴っていた。風の影響もあり落ちる感じの球質だった。DFに任せてよかったかなと思わせる微妙なところに蹴ってきたのでやりにくかった」と振り返った。GK川浪吾郎(26)は「風に乗っていいボールが入ってきていた。あそこに蹴られたらキーパーはどうすることもできない」と舌を巻く。

 相手の脅威となる「クセが凄い」プレースキックを生かすためにも、まずは当落線上にあるポジション争いを制したい。仙台渡辺晋監督(44)は「いいキックをすかさず見せてくれましたね。リスタートからのキックはあいつの武器。自分のストロングをどんどん出してアピールしてもらいたい」と期待を寄せた。今季は茂木に対して左右6カ所のポジションを要求している。「野球のようにピンチキッカーがあればいいですけどね」とスタメン奪取が先決であることを示唆した。

 15年にユースからトップに昇格し、クラブ史上初となるJ1高卒ルーキー開幕スタメン出場を果たし、注目を浴びた。だが、昨季はフル出場した試合が最終節甲府戦の1試合のみとスタメンから遠ざかっている。「狙いどころもよかったし感触はよかったですが、試合で決めないと意味がないので。蹴るチャンスが来たらしっかり結果につなげていきたい」と茂木。今日29日の鳥栖戦で3年ぶり開幕スタメン入りへ向け、アピールする。【下田雄一】