「七会(ななかい)中学校」の銘板が残る校門をくぐった先に、J2水戸ホーリーホックのクラブハウスがある。「3年1組」などの教室札が「社長室」「監督室」などと変わっても、中が見える窓付きの教室ドアはそのまま。閉ざされた感がない。どの部屋にも深緑色の黒板が残っている。選手32人の更衣室はかつて木工室と金工室だった。3年前に「廃校」になった校舎が2月、生まれ変わった。
水戸市街地から車で約40分の茨城県城里町。「日本一魅力度の低い県の最も知名度の低い町」とうたう。その七会町民センター「アツマーレ」にクラブハウスはできた。半分は町行政の施設。町民も中を行き交う。トレーニング室は一般開放され、選手の隣で町民も体を鍛える。距離が近いから「頑張って」「おめでとう」の声がじかに。まさに地域密着。町も活性化した。
水戸も、以前は那珂川沿いの河川敷が練習場。台風などで増水すれば水浸しになった。今は、土の校庭から様変わりした天然芝2面を使う。昔の図書室で昼食を取り、室内の本を読む選手もいて「クラブハウスにいる時間が長くなった」という。移動距離よりも、快適さが上回る。
全国で廃校が広がる中、利活用で、1903年の開校以来あまたいる卒業生の思いもつながれた。地域と共に生きる一例。環境の効果は現順位に表れている。【今村健人】



