全国高校サッカー選手権で2大会ぶり2度目の優勝に輝いた青森山田の新チームが17日、青森市内の同校グラウンドで始動した。流通経大柏(千葉)との決勝戦で唯一2年生でスタメン出場したMF武田英寿(2年)を中心に、猛吹雪の中、2連覇に向けてスタートを切った。

日本一の喜びもつかの間、吹雪の悪天候の中、青森山田の新チームが新たな目標に向けスタートを切った。浮ついた気持ちの選手は1人もいない。円陣で正木昌宣コーチ(37)は「ここから本当に苦しい思いをして、頑張って頑張ってやった者がレギュラーを取るし、1年後の選手権でいい結果をもたらすんだ」とゲキを飛ばした。生き残りの戦いはもう始まっている。決勝戦に唯一2年生で先発したMF武田も同様だった。ひざ近くまで降り積もった雪の上を約2時間、距離にして10キロ近くを、常に先頭を競うように走り続けた。

新チームの主将候補でもある武田は「自分は3年生のおかげでピッチに立たせてもらった唯一の選手なので、受け継いでいかなければいけない」と高い自覚をのぞかせた。高校選抜の合宿も控えるが、マイペース調整の余裕はなかった。「先輩たちは個々の能力が高かったけど、自分たちの代は低いと言われている。自分が引っ張っていかなければいけない立場。最高のチームを目指して頑張りたい」と決意を新たにした。

練習後には学校近くのショッピングセンター「サンロード青森」で優勝報告会が行われ、多くの市民が駆けつけた。黒田剛監督(48)は「雪深い青森に、明るくて幸せに思ってもらえる話題を届けられて本当にうれしい」と笑顔で感謝した。新チームについては「優勝したことで始動はかなり遅れたけど、目先の勝利より1年後を見据えてやっていきたい。また新たな挑戦が始まる」と、すでに2連覇という偉業に視線を向けた。【野上伸悟】