【リヤド9日(日本時間10日)=木下淳】浦和レッズが、GK福島春樹(26)の神セーブ連発でアジア制覇に望みをつないだ。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝の第1戦でアルヒラル(サウジアラビア)に0-1で敗戦。3度目の進出で初めて先勝を許したが、被シュート22本を最少失点で切り抜けた。

ACL初出場が決勝という状況にも「持ってるな」と動じなかった男が前半から好守を重ねた。33分、ペルー代表MFカリジョのヘディングを右手1本で防ぐと、37分にも元イタリア代表FWジョビンコのシュートを右に横っ跳び。両手ではじき、世界的選手の頭を抱えさせた。「自分でもよく止めたな」とアドレナリンが全開だった。

2年前の決勝は「4番手」でスタンド観戦。16年の前十字靱帯(じんたい)断裂と半月板損傷で「一生ボルトが入ったまま」の右膝も当時は不調だったが「あの時からは想像できない」未来が、耐えしのんだ先に待っていた。

後半15分の失点は相手の右クロスに「いける」と前に出た。だが、想像以上に伸びた球は頭上を通過。カリジョにDF岩波と橋岡の間を突かれた。「予測不足。経験不足」と言い訳しなかったが、浦和の2本に対し22本も浴びたシュートに堂々と対処した。

大槻監督から「現実的なスコア。素晴らしかった」と評価されたように2失点、3失点で勝負を決められてもおかしくない劣勢から救った。

守護神西川が出場停止で得た出番。その西川から「お前がいなかったら、もっとやられてた。次につながった。ありがとう」と感謝された福島春は24日の第2戦へ「埼玉が後半戦。優勝したい」。敗れはしたものの、逆転Vの機運を高めた。