Jリーグは26日、同日開催予定だったサンフレッチェ広島-名古屋グランパス(Eスタ)を急きょ中止にした。

名古屋に新型コロナウイルスの感染者が3人確認され、広島戦に臨む選手らが濃厚接触者にあたる可能性があったため、試合開始7時間前に異例の中止発表となった。Jリーグ再開後にコロナの影響による中止は初めてで、代替日は未定。また、8月1日の次節・名古屋-柏レイソル戦(豊田ス)はリモートマッチ(無観客試合)にせず、有観客での開催を目指す。

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今回の中止は、他クラブにも動揺を与えている。あるJ1クラブ幹部は「どこよりも感染対策に取り組んでいた名古屋が、それでも感染してしまう。もはや人ごとではない」。名古屋では自宅に客を招くことも原則禁止にしており、選手の外部接触はほぼない。週に1度は感染対策の講義も開く。先の幹部は「今、うちに感染者がいないのは、たまたまという言葉になってしまう」と嘆く。

名古屋は今回の感染を受けて、週明けの27日を含めて1週間で2度のPCR検査を受けるという。完全なる自費で、その費用は数百万円にのぼる。31日にはJリーグの公式検査があり、1週間で3度という例をみない姿勢で臨むのは、逆に今の2週間に1度の公式検査では、実情が追いついていないことを示す。

名古屋の営業収益は19年度で約69億円の4位。社会的責任を背負うとはいえ、ビッグクラブだからできる検査態勢かもしれない。J3のクラブは同収益で10億円にも満たず、仮に名古屋のような感染が起きれば、即座に同様の措置がとれるか疑問だ。村井チェアマンもガイドラインの修正を示したように、今はスピードが求められている。【横田和幸編集委員】