21年のJリーグは26日に開幕する。J1史上最多20チームのシーズンを、各チームはどんな陣容で戦うのか。ポジション、年齢別の「シートマップ」を作成し、戦力バランスをチェックした。際立つのがJ1史上最多8度優勝の鹿島。平均年齢25・29歳は最年少。元日本代表のDF内田篤人、GK曽ケ端準が昨季限りで引退と、世代交代が進んでいる。一方、最年長は横浜FCで平均29・41歳。開幕日26日が54歳の誕生日のFWカズ(三浦知良)を筆頭に、30歳以上のベテランFW3人も新たに加わった。

各クラブ平均年齢
各クラブ平均年齢

<北海道コンサドーレ札幌:期待若手補強>

どのポジションもバランス良く、今後に期待を持てる若手を補強。さらにベテランMF小野の1年半ぶり復帰で安定感とまとまりをもたらす。昨季に続きマンツーマンDFに取り組む見込み。4年目ペトロビッチ監督は成熟度を増した戦いを見せるはずだ。

<ベガルタ仙台:若返り果たす>

主力流出を最小限に抑えると同時にチームの若返りを果たした。大卒ルーキー4人や20代中盤の即戦力を積極補強。攻守の要として期待されるFW皆川、赤崎、マルティノス、MFクエンカ、GKスウォビィクと30歳世代5人衆の出来が浮上へのキーポイント。

<鹿島アントラーズ:絶妙で層厚く>

前線では10代の荒木、松村、染野が1年目から飛躍し新たに須藤も加わった。23歳の伸び盛りの上田、安定感ある29歳土居、30歳エヴェラウドと絶妙な年齢バランスで層が厚くなった。GK、中盤も若手が集い、今季タイトルを取れば、黄金期になる可能性も大。

<浦和レッズ:期待高い逸材>

主力の退団の一方で、期待値の高い逸材が加入。クラブレジェンドと同姓同名の田中達也はアタッカーとして既に順応し、明本はFWとしても対応が可能。DFラインも元日本代表西の加入で、強固なものとなった。欲を言えば、FWにさらに厚みを出したい。

<柏レイソル:中盤は若返り>。ベテランの大谷、三原が活躍する中盤は24歳の椎橋、25歳のドッジが加入し若返り。最終ラインも24歳の上島が加わり、34歳の山下、35歳の染谷らベテランとの競争、融合に期待だ。前線もハードワーク盛りの20代後半が集い、オルンガの穴を総力戦で埋めそう。

<FC東京:成長五輪世代>

GK、CB、中盤、FWと中央には30代の経験豊富な選手がそろう。またベテランから吸収を続ける東京オリンピック(五輪)世代の若手の成長が著しく、各世代のバランスも良好だ。ここに大黒柱のFWディエゴ・オリヴェイラら強力外国人選手が加わり、戦力は充実している。

<川崎フロンターレ:個性さまざま>

国内クラブ間移籍や期限付き移籍からの復帰を進め中盤には働き盛りの選手がそろった。個性もさまざまで中村憲剛氏やMF守田の抜けたポジションにはさまざまな組み合わせが考えられそう。守備陣の高年齢化が気がかりだが、プレーを見れば納得の陣容。

<横浜F・マリノス:10代一気4人>

興国から4選手を獲得しクラブの未来を担う10代が一気に増えた。ポジションではまんべんなく選手をそろえたが、東京五輪世代の20代前半が少ないのはやや気がかりか。選手層の薄いCFにけが人が出たときの対応は指揮官の腕の見せどころになりそう。

<横浜FC:前線自由自在>

新加入のFWクレーベ、渡辺、伊藤、ジャーメイン、小川で組むバリエーションは自由自在。レジェンドのFWカズ(三浦知良)、MF中村も好調の様子で、毎試合の布陣が1つの楽しみとなりそう。前線に比べ、DF陣の層の厚さがやや気がかり。

<湘南ベルマーレ:若手ひしめく>

最終ラインに鹿島から36歳の山本が加入。「勝利の道筋」を知り尽くすベテランが若手ひしめくチームに試合の読みなどを伝授する存在になりそう。中盤にも鹿島から名古が加入。前線のウェリントンら新外国人選手を生かし、得点力をアップさせたい。

<清水エスパルス:積極的な補強>

今季に向けて積極的な補強を行い、層の厚みは格段に増した。最年長は32歳世代の4人。チーム平均年齢は約27歳と若返った。特に中盤が充実。状況に応じて様々な組み合わせが期待できる。6人のブラジル人選手が在籍。外国人枠をうまく活用したい。

<名古屋グランパス:元代表がカギ>

新加入のFW柿谷と斎藤の元日本代表コンビの復活が優勝のカギを握る。ともに90年生まれで今年で31歳。この2人とMF阿部、外国人選手らが融合すれば魅力的な攻撃陣が完成する期待が高まる。彼らの復活が大前提だが、優勝候補にも加わりそうだ。

<ガンバ大阪:攻撃陣に厚み>

昨季広島で15得点を挙げたレアンドロ・ペレイラが加入。得点王候補で攻撃陣に厚みが増した。29歳になるエース宇佐美が2ケタ得点を決めれば3冠達成した14年以来の優勝に近づく。18年W杯に韓国代表として出場したMFチュ・セジョンの加入も頼もしい。

<セレッソ大阪:大幅入れ替え>

大幅な入れ替えで不安は残るがレビークルピ監督の8年ぶり復帰の意図は少々の失点は気にせずゴールラッシュを実現すること。ノルマの3位以内へは39歳大久保の完全復活不可欠。清武、原川の質の高いパスを起点に指揮官が描く創造豊かな攻撃なるか。

<ヴィッセル神戸:真の実力発揮>

右太もも手術の37歳イニエスタが欠場する春までは試練は続くが、逆に24歳井上、19歳桜井といった新加入イケメンMFら若手台頭の絶好機。ACLとの強行軍に悩まされた昨季を思えば、J1に専念できる今季こそスター軍団の真の実力発揮できるはず。

<サンフレッチェ広島:不動の3-6-1>

青山らベテラン、佐々木ら中堅、大迫ら若手による絶妙の年齢構成。ユースから昇格2年目の20歳鮎川や唯一の新人藤井もブレークの予感。得点源レアンドロ・ペレイラの穴をジュニオール・サントスが埋めれば、不動の3-6-1システムで優勝争いは必至だ。

<徳島ヴォルティス:J1定着狙う>

若い選手を中心にJ1舞台に挑む。FWには昨季42試合17得点でJ2優勝に貢献した24歳の垣田。シャドー、トップ下にはドリブルが魅力で22歳ながら10番を背負う渡井がいる。ボランチに23歳の小西。若手を陰でまとめるのが33歳MF岩尾。J1定着を狙う。

<アビスパ福岡:課題の得点力>

課題の得点力向上が浮沈のカギを握る。昨季C大阪でチーム得点王のFWメンデスをはじめ攻撃力があるFW渡やMFクルークスを補強。既存の長身FWフアンマらとの連係も深まれば脅威を与えそう。だが、24歳以下は5人と少なく過密日程の疲労が心配。

<サガン鳥栖:新外国人期待>

主力が大量に流出する中で、ロペス、Tアウべス、趙東建ら外国人FWも退団。戦力ダウンは否めない。全体的に若手が多く不安もあるが、FWオフォエドゥ、FWドゥンガの新外国人選手に、昨季7勝の要因でもある決定力不足の課題克服を期待したい。

<大分トリニータ:急務な再構築>

堅守再構築が急務だ。3バックの要だったDF鈴木や右SB岩田が抜けた穴を埋めることが最重要課題。湘南から完全移籍で新加入したDF坂には大きな期待がかかっている。各ポジションに、30歳代の経験豊富な選手がそろい、総合力で戦えそう。

※赤字は新卒加入、紫字は移籍加入選手。2種登録は除く。数字は年齢(21年の満年齢)