15年ぶりにセレッソ大阪へ復帰したFW大久保嘉人(38)が、開幕スタメンで、いきなり「ただいま弾」を決めた。クロスに反応して頭で突き刺し、自身が持つJ1通算最多得点記録を186に更新した。開幕戦ゴールは3度目、C大阪では初めて。前日の最終調整後の予告弾を現実とした。浦和は、MF阿部勇樹が39歳5カ月21日で開幕弾を決め、93年の鹿島MFジーコに次ぐ歴代2位の年長記録を作った。

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プロ21年目のレジェンドの“予感”が的中した。前日の会見で、神戸時代の12年G大阪戦、川崎F時代の15年横浜戦に続く、自身3度目の開幕弾を「予感がある」と思い描いていた。前半42分、ペナルティーエリア(PA)手前右のMF坂元から、外のDF松田陸へボールが渡った。敵陣深くから、松田が浮き球のクロス。ここへ走り込んだ大久保が頭で左へ流し込んだ。

「それまで、いい形で抜け出したりとか、点が入りそうな感じだった。陸からいいボールが来たし、ディフェンスを外していけばいいなと思っていた」

プロとしてスタートした地へ、15年ぶりに復帰。だが、ここまで順風満帆ではなかった。J2東京V所属の昨季は無得点。C大阪へ加入が発表されると、一部のサポーターから疑問の声も出た。2月上旬から行われた宮崎キャンプの練習試合では、控え組に入ってプレー。主力組に入ったのは試合の3日前だった。

「(主力組に入るまでは)メンバーに入れればいいと思っていたが、やらないと後がないという気持ちでやった。周りが何を言おうが、今日に賭けていた。結果を出したいという気持ちで入りました」

魂を込め、思いをのせたゴール。自身のもつJ1最多得点記録を更新する186点目だった。後半16分、交代が告げられると、歴史を目撃した会場のサポーター4481人から、敬意を込めて大きな拍手が送られた。大久保と同じように、8年ぶりにチームに復帰したレビークルピ監督(67)は、大久保の先発起用の理由を説明した。

「チーム内競争で、実力を示した。彼のキャリアで残してきた数字は偶然ではない。シーズンで間違いなく重要な選手。ブラジルでもストライカーはゴールを嗅ぎ分ける『嗅覚』が大事というが、彼はその『嗅覚』を持った選手だ」

レジェンドが目指す先には、チームのリーグ初制覇がある。そして、前人未到の200ゴールだ。38歳の点取り屋は、大きな目標を掲げ、プロ生活の第1歩を踏んだ地で、新たな歴史を刻む。【南谷竜則】