J2で首位をひた走る町田ゼルビアは次節22日、アウェー熊本戦(えがおS)に勝利すればクラブ初のJ1昇格が決まる。青森山田高を全国優勝7度の強豪校に鍛え上げ、今季からプロを率いる黒田剛監督(53)は19日の練習後、王手をかけて残り4戦の有利な状況にも「最初のチャンスに的を絞って昇格を狙っていきたい」と意気込んだ。引き分け以下でも3位東京V、4位磐田の結果次第で昇格。勝てば優勝決定の可能性もある。

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昇格を懸けた大一番を前にしても、黒田監督の表情は落ち着いていた。相手がボール保持率リーグ2位を誇る熊本でも、やるべきことは変わらない。「今まで通り相手の長所を消し、やりたいことをやらせない。パスを遮断する作業をどれだけ積極的にできるか」と強調し「この順位(18位)に甘んじているということは、必ず隙があって点を奪われてきた事実がある。その詰めの甘さを我々は突きたい」。首位を1人旅してきた今季の戦い方を貫く。

昇格ならクラブ初。それだけでなく黒田監督は、アマチュアからプロに転じても成功を収める指導者の、前例になる。高校サッカー→Jリーグ監督の先人は市船橋(千葉)を選手権で4度の優勝に導き、群馬、松本、今治を率いた布啓一郎氏が有名だが、J1昇格ならず。こちらも初を狙う。

「(就任前は)半信半疑というより懐疑的な言葉の方が多かった中、次にチャレンジする者に対して弾みがつくことにもなるだろうし、高体連の名誉を高めるものにもなる」。そう信じてプロの世界に挑んだ黒田監督の覚悟が、あと1勝で報われるところまできた。

主将のDF奥山は「今までの監督からは言われなかったような人間性の部分まで言ってくださるので、選手として成長できたのかな」と言う。在籍7年目で最高位に導いてくれた黒田監督から、常に言われる。「そのプレーをしたことによって仲間がどう思うか考えろ」。響く言葉で選手が行動に責任を持ち、チーム全体を考えるようになった。

系列の青森山田中では48歳で副校長を任され、人間教育が本領。プロでも教え子を伸ばしてクラブの宿願を成就する。【千葉修宏】

 

◆FC町田ゼルビア 77年、町田市サッカー協会が小学生を強化するため設立した「FC町田トレーニングセンター」のトップ部門として89年発足。97年、現クラブ名に改称した。ゼルビアは市の樹ケヤキ(ゼルコヴァ)と花のサルビアから。08年JFL昇格。12年J2昇格。18年10月にサイバーエージェントが経営権を取得し、過去最高4位。翌19年にJ1ライセンス承認。22年に藤田晋社長がクラブの社長兼CEOに。今年からメインスポンサーとなり黒田監督らを招く。クラブカラーは青。ホームは町田GIONスタジアム。

 

◆町田のJ1昇格条件 次節22日に決めるには<1>町田が熊本に勝利<2>町田、3位東京V、4位磐田がいずれも引き分け<3>町田、東京V、磐田がいずれも敗戦。優勝まで決まる可能性もあり、前日21日に2位清水が引き分け以下に終わった上で町田が勝てば1位確定。