現在31歳で、ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かりつつあるマルセル・ヘラーは、ブンデスリーガ2部への降格が決まったダルムシュタットを去り、4シーズンぶりに新天地へ羽ばたくことになった。彼が2年契約を結んだ就職先は、宇佐美貴史も所属するアウクスブルクだ。


 しかし、ヘラーがアウクスブルクとの契約書にサインしたのは、チーム始動まで5日間しかない6月28日。さらに同クラブの面々は、7月5日夜からマッレスで10日間の合宿をスタートする予定だった。したがって、引っ越しを急ピッチで行う必要があったのだろう。なんとヘラーは、ダルムシュタットの自宅で使っていたソファーを、インターネットオークションサイトの「eBay」に出品するという庶民的な行動に出た。


 ヘラーが書きこんだと思われる商品詳細によれば、「引っ越しのため売却。状態は最高。他に質問があれば連絡してほしい」とのことで、値段は850ユーロ(約10万5000円)と決して安価ではないが、横幅340センチ、縦幅は最も長い部分で180センチ。座り心地が良さそうな、“コの字型”の大きめソファーだ。


 そもそも、なぜこれがヘラーの出品物であると分かったか--地元紙「アウグスブルガー・アルゲマイネ」によると、ヘラーは当初、SNSサイト「Facebook」の自身公式ページでもまったく同じ告知をしたというが、購入希望者からの連絡が殺到した模様で、これはすぐに削除されたという。そしてeBayにのみ掲載されていた商品も、その後数時間で削除されたことから、同紙は「(すぐに)買い取り手が見つかったのではないか」と記している。


 ヘラーは2016-17年シーズンのブンデスリーガ1部で、全選手中2位となる最高速度、時速35・16キロを叩き出した快足の持ち主だが、引っ越し作業の素早さでも、彼はブンデスリーガトップクラスだったようだ。