ブンデスリーガを運営するドイツ・フットボールリーグ社(DFL)とブレーメン市の間で、試合開催時の警備費用に関する訴訟が起こり、ブレーメン高等行政裁判所は21日、「ブレーメン市の要求は正当。スタジアム周辺を警備する当局の費用は、DFLが負担する」という判決を下した。

 ドイツ警察労働組合のトップを務めるライナー・ウェント氏は大衆紙「ビルト」に対し、「我々の考えを裁判所が認めてくれたということだ。サッカーで大金を稼いでいるDFLは、(ダービーなど)特に危険性が高い試合の時にかかる警察費用を、今後はきっちりと払うことになる」と喜び、「このことはブレーメン市だけでなく、可能な限り素早く他のすべての州にも広がっていけばいい。そうすれば、我々の試算では1シーズンあたりDFLに5000万ユーロ(約65億5000万円)の請求書が届くようになるだろう。しかし、試合を警備する警察官にかかる実際のコストは、ドイツ全土で1シーズン1億ユーロ(約131億円)くらいだけれどね」と語っている。

 同紙によると、2015年4月19日に開催され、ファン同士による180人規模の乱闘騒ぎが起きたブレーメン対ハンブルガーSVの北ドイツ・ダービーを例に挙げると、この日は通常の4~5倍の警察官が動員され、約42万5700ユーロ(約5767万円)のコストを要したという。

 しかしDFLのラインハルト・ラウバル会長は同社プレスリリースを通じ、「どう考えても正しいものではありません。ブレーメン高等行政裁判所の判決を不服とし、上告するつもりです」とコメントを発表しており、ブレーメン市と徹底的に戦う構えを見せている。

 またドルトムントのハンス・ヨアヒム・バツケCEOやシャルケの財務取締役ペーター・ペータース氏も、「もしこれがまかり通るのならば、サッカーだけに求めるのではなく、イベント開催などの時にも、その費用を(イベント主催者に)負担させるべきではないだろうか?」(バツケCEO)、「警察の費用は税金からやりくりされるべき。そもそも経済的な規模を考えれば、ブンデスリーガも十分(税金に)貢献しているはずだ」(ペータース氏)と、今回の判決に疑問を呈している。