【マイアミ11日(日本時間12日)=佐藤隆志】60年ぶりの優勝を目指すイングランド(FIFAランキング4位)が、ノルウェー(同31位)を延長戦で2-1で下し、2大会ぶりの4強進出を決めた。
MFジュード・ベリンガム(23=Rマドリード)が2試合連続の2ゴールを挙げ、「怪物」アーリング・ハーランド(マンチェスターC)を擁するバイキング軍団を退けた。準決勝は王者アルゼンチンと対戦する。
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帰途に就くサポーターが口ずさんだ凱歌(がいか)は、ミック・ジャガーではなくビートルズだった。
「Na~na~na~nananana~,nannana~,hey Jude~♪」
マイアミの夜に歌声が響く。「ヘイ・ジュード」のサビが繰り返し歌われた。まさしくジュードの日だった。ヒーローとなった23歳は「非常に大変だった。辛抱強く戦う必要があったし、そこを打ち破れた。自分たちの仕事に誇りを持っている。準決勝はうれしい」。
試合開始前で気温33度。前夜のスコールもあり、曇り空ながら蒸し暑かった。激闘を制したが、どっちに転んでもおかしくない内容にトゥヘル監督はおかんむり。それでもベリンガムは「何でもいい。明らかにタフな対戦だったし、大きなシフトをやり遂げた」と気にもとめなかった。
「ミックの呪い」も解いた。英国ロック界のカリスマ、ミック・ジャガーが観戦に訪れていた。これまでW杯を観戦した過去3回でイングランドは敗退。そんな不吉なジンクスを打ち破れたのは、若きエースの技術と判断、チャンスを逃さぬ嗅覚(きゅうかく)があったからこそ。
まずは1点リードされた前半追加タイムの47分だ。中央でパスを受けると巧みなドリブルで相手をかわし、ペナルティーエリアへ進入。最後は4人に囲まれながら左足で同点ゴールを奪った。そして1-1で迎えた延長戦の前半3分、MFロジャーズがミドルシュートを放つと、相手GKニランがこぼすことを想定し、ゴール前に詰めた。すかさずルーズボールを右足で押し込み、決勝点を奪った。
メキシコ戦に続き、決勝トーナメントで2試合連続の2得点。86年に優勝したアルゼンチンのマラドーナ以来の偉業だ。加えて今大会6点目となり、FWケーンと並んだ。同一チームで2人の6点以上が誕生するのもW杯史上初だった。
試合後のミックスゾーンは冗舌だった。警告1枚出たら累積で準決勝は停止となる状況だったことに「母がこの1週間、ずっとイエローカードには気を付けろって何度も言ってきた。“言葉に気を付けろ、タックルに気を付けろ、表情に気を付けろ、感情にも気を付けろ”って。母の言葉がずっと心にあった」と話した。
女性記者から「子どもの頃から夢見ていたことなの?」と聞かれると「僕は自信家な子どもだったんだけど、寝る時にこんな夢は見たことなかった。正直に言うと出来過ぎだと思っている」と回答した。
サポーターの幸せそうな歌声が響く。「Na~na~na~nananana~,nannana~,hey Jude~♪」。今夜は枕を高くして眠れそうだ。サッカーの母国は60年ぶりのW杯優勝を夢見ている。
◆ジュード・ベリンガム 2003年6月29日、英ストールブリッジ生まれ。バーミンガムの下部組織から19年トップチームに昇格し、20年ドルトムントに移籍。23年からレアル・マドリードでプレーし、1季目で欧州チャンピオンズリーグ(CL)、国内リーグなど制覇。20年A代表初招集。W杯は22年から2大会連続出場。186センチ、75キロ。利き足は右。


