新旧日本記録保持者がガチンコ対決! 東京マラソン財団は28日、都内で会見して東京マラソン(3月1日)の招待選手を発表した。日本記録2時間5分50秒を持つ大迫傑(28=ナイキ)と前日本記録2時間6分11秒を持つ設楽悠太(28=ホンダ)がともにエントリー。

大迫は東京オリンピック(五輪)代表3人目の権利を持つが、他の選手が日本新を出せば権利を失う。五輪切符&日本新ボーナス1億円をかけた2人の最終決戦が、幕を開ける。

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3・1、東京五輪をかけた2人のファイナルバトルが展開される。大迫と設楽悠。世界基準の高速レースで、同じ91年生まれ、物議を醸す厚底シューズ使用が予想される2人が激突する。

大迫は、昨年9月のマラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)3位で五輪代表3人目候補。日本記録2時間5分50秒を破られなければ代表内定だが、敢然と勝負に打って出る。早野レースディレクターは、大迫側の意向について「『日本記録を更新するつもりで参加します』と聞いています。設楽、井上が(日本記録の)上をいくんじゃないか、という想定ではないか」と説明。仮にライバルが日本新に届かない展開になっても最後まで全力で走りきる構え。昨年11月には大会側に出場の意向を伝えたという。

設楽悠は会見に出席し「日本記録を更新しないと話にならない。その先に4分台があると考えています。どんどん揺さぶって、皆が嫌なレースをしたい」。大会側は、海外勢のために2時間3分切りのペースメーカーを用意する方針。「自分の体調によるが、今はついていくつもり」と、世界基準の高速ペースに挑戦する構えだ。

信念がある。MGCでは世界基準を念頭に号砲から独走。終盤失速で14位だったが、今月23日には2時間4分台が出なければ、五輪代表に決まっても辞退すると表明。「あまりにも反響がすごくて…」と戸惑いもみせたが、それでも「自分が言った言葉にうそはつきたくない。(五輪を)走るからには、海外勢と競っているところがみんなは見たいと思う。(4分台は)世界と戦えるという基準」と持論を展開。自身2度目の日本新=1億円に向けても「早く走りたい。東京マラソンの翌日からハワイに行くので、理想は1億円をとってハワイで豪快に使うこと」と言った。

26日の大阪国際女子マラソンは松田が2時間21分47秒で優勝、代表3人目の候補になった。「次は男子の番だなと思った」と設楽悠。新旧日本記録保持者がしのぎを削る。【益田一弘】

<東京マラソンの見どころ>

◆高速レース 世界6大会、世界最高峰の「ワールドマラソンメジャーズ」に格付けされている。東京以外はボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク。今回、海外招待選手は自己記録で2時間2分台1人、同3分台2人、同4分台5人と世界トップレベル。優勝賞金1100万円。ボーナスは世界記録3000万円、日本記録500万円、大会記録300万円の設定。

◆日本新ボーナス 日本実業団連合はマラソン日本記録にボーナス1億円を用意。18年大会で設楽悠が2時間6分11秒を出して獲得。今年大会も出れば、東京マラソンで2度目となる。

◆女子もすごい 五輪代表選考対象ではないため国内有力選手は出場しないが、海外招待選手は2時間18分台が2人、同19分台が3人。女子のペースメーカーは2時間18分切りを想定。世界記録は2時間14分4秒。

◆幻の五輪コースと重複 浅草、日本橋など東京の名所を回る。東京五輪コースと一部が重なっていたが、昨年に札幌移転が決定。